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欧州の熱波および干ばつで穀物は減産、物流や飼料供給にも影響(EU)

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 欧州委員会共同研究センター(JRC)は2026年8月12日、同年春以降の降雨不足と断続的に発生する熱波により、欧州の干ばつ状況が悪化していると公表した(図1)。JRCによると、フランスやドイツを中心に深刻な干ばつが継続しており、これらの地域では穀物収穫量の減少が見込まれている。
図1

熱波および干ばつの穀物生産や畜産への影響

 フランス農業省統計局は、同国の2026年のトウモロコシ生産量を1980年以来の水準となる900万トン(前年比34.5%減)と見込んでいる。また、ドイツ・ライファイゼン協会(DRV)が、同国のトウモロコシ生産量を424万トン(同14.2%減)と予測し、小麦についてはドイツ農民連盟(DBV)が平年を下回る収穫量との見通しを示している。
 JRCによると、6月下旬以降の熱波と降雨不足が、開花期のトウモロコシや登熟期の小麦などに悪影響を及ぼした結果、欧州の穀物生産量予測の下方修正が続いている。現在の高温乾燥状態は継続すると見込まれており、穀物生産量がさらに下方修正される可能性も高まっている。
 現在の熱波および干ばつは、畜産業にも影響を及ぼしている。フランスでは、夏場の生乳生産を放牧に依存するため、放牧地の乾燥による牧草の生育不良が生乳生産量の減少につながっている。ドイツでは、同国南部の一部で飼料供給量が例年に比べ減少し、家畜を予定より早く出荷する事例も見られている。また、欧州各地では、冬季に向けた飼料在庫の取り崩しが進んでいるとする現地報道もある。

トウモロコシ等の生産状況と見通し

 欧州委員会によると、EU27カ国の2025年のトウモロコシ生産量は6009万トン(前年比2.0%増)、軟質小麦生産量は1億3630万トン(同22.1%増)となり、いずれも前年を上回った(図2、図3)。これを主要生産国別に見ると、トウモロコシはフランスが1374万トン(同6.3%減)、ドイツが494万トン(同1.3%減)となり、両国でEU全体の31.1%を占めた。軟質小麦はフランスが3298万トン(同29.9%増)、ドイツが2281万トン(同25.1%増)となり、両国で同40.9%を占めた。
 現在の干ばつの状況を受け、欧州委員会は、EU27カ国の26/27年度のトウモロコシ生産量(7月末時点)を5190万トン、軟質小麦生産量を1億2440万トンと予測している。なお、EU27カ国のトウモロコシ生産量の減少が見込まれる一方、米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および同省海外農業局(USDA/FAS)の8月の予測によると、世界のトウモロコシ生産量は12億9888万トン(前年度比2.3%減)と7月から179万トン上方修正されている(注1)
 
(注1)海外情報「米国農務省による世界および米国のトウモロコシ需給予測(2026年8月)」もご参照ください。
図2
図3

河川物流への影響

 現地報道によると、ポーランドやルーマニアでは適度な降雨により一定の穀物生産量が期待されている一方、ドナウ川の水位低下により輸送可能量が大幅に減少し、ルーマニア南東部のコンスタンツァ港からの同国産およびウクライナ産穀物の輸送に支障が生じている。また、ドイツではライン川の水位低下が続いており、貨物船の積載量は通常時の約2割程度に制限されるなどしている。これにより、ロッテルダムからドイツ南西部のカールスルーエまでの輸送費は、6月末の1トン当たり約45ユーロ(約8397円(注2))から同約60〜70ユーロ(約1万1197〜1万3063円)へ上昇しているとされている。
 
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」2026年7月末TTS相場。
【渡辺 淳一 令和8年8月24日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:調査情報部)
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