英国でアニマルウェルフェアに関する消費者意識を調査
英国レディング大学は2026年7月29日、アニマルウェルフェア(AW)の向上に対して消費者が許容可能とする金銭的負担額(WTP:Willing To Pay)についての調査結果が学術誌「Food Policy」に掲載されたと公表した。本調査は、英国環境・食料・農村地域省(Defra)からの委託を受け、同大学が主導となり複数の大学と共同で実施したもので、定量化が難しいAWについて、AW向上により得られる付加価値を数値化し、政策の費用対効果の評価のために活用することを目的としている。
AW向上に対する消費者の評価
本調査は2024年9〜10月、英国の消費者3013人を対象に行われ、「AWスコア(注1)の向上」と「AWスコア向上に伴う家計における一週間当たりの食費の増加額」を組み合わせた複数の選択肢を提示し、その選択結果からAW向上に対するWTPを推計した。
調査結果では、調査対象者の66%がAWへの配慮が食品購入時の判断に影響すると回答し、また、その多くが、高いAW基準に基づいて生産された食品について、健康的で品質が高く、環境にも優しいというイメージを持っていることが確認された。
(注1)採卵鶏、乳牛、豚、羊、ブロイラーおよび肉牛の6畜種を対象として、13人のAW研究者および獣医師からなる専門家パネルによって、飼料や飲水場へのアクセス、健康状態、飼養環境、自然な行動を取る自由、といった観点から、AWのレベルを0点(極度の苦痛)〜100点(達成可能な最高水準のAW)で評価したスコア。
AW向上事例ごとのWTPを推計
本調査では、AWの向上事例ごとにWTPを推計している。その一部として例えば、採卵鶏の飼養方式を「コロニーケージ(colony housing)」(注2)から平飼いへ移行した場合、AWスコアは32点から44点へ向上すると評価され、消費者のWTPは1世帯当たり年間53ポンド(1万1677円、1ポンド=220.33円(注2))と推計され、これは卵1個当たり約0.13ポンド(約29円)に相当するとされる(表)。
(注2)コロニーケージとは、エンリッチドケージと比較し、1羽当たり面積、ケージの総面積、敷料で覆われた面積などについてより厳格な基準が適用されているケージ
豚においては分娩クレートを完全に使用しない場合、AWスコアは27点から47点へ向上すると評価され、WTPは同84ポンド(1万8508円)と推計され、これは枝肉重量ベースで豚肉1キログラム当たり約2.52ポンド(555円)に相当するとされる。
ブロイラーにおいては、飼養密度を生体重量で1平方メートル当たり38キログラムから30キログラムへ引き下げる場合、AWスコアは39点から47点に向上すると評価され、WTPは同35ポンド(7712円)と推計され、1羽当たり約0.92ポンド(203円)に相当するとされる。
なお、本調査では、国全体としてAW向上により得られる付加価値は、それぞれのWTPを英国の世帯数(約2840万世帯)に乗じることで求めることが可能としている。
(注3)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」2026年7月末TTS相場。
(注4)表中のAWスコアの畜種別向上値別のWTPの累積額等については、同大学による公表の別紙15「WTP評価表」をご確認ください。
【渡辺 淳一 令和8年8月26日発】
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