熱波によりてん菜・ばれいしょなどの生産に大きな影響、関係団体は対策を求める(EU)
最終更新日:2026年9月10日
EUでは、記録的な猛暑と水不足の影響により、トウモロコシや大豆などの夏作物の生産見込みが悪化している。欧州委員会共同研究センター(JRC)が8月24日に公表したレポートによれば、EUにおける2026年産のトウモロコシの単収は、過去5年平均比6.6%減の1ヘクタール当たり6.61トンと見込まれ、前月予測値から下方修正された。これを地域別に見ると、西欧および中欧全域で大きな影響が生じており、EU内で最大のトウモロコシ生産国のフランスをはじめとする多くの国で、過去5年平均比を10%以上下回ると見込まれている(図)。
他の夏作物でも、トウモロコシと同様に西欧や中欧の大部分で熱波の影響が見られており、北欧や東欧では比較的良好な生育状況となっているものの、西欧や中欧の落ち込みを補うまでには至らないとみられる。そのため、26年のEU全体の単収は、大豆が同13.5%減の同2.31トン(前月予測からは11.8%下方修正)、青刈りトウモロコシが同37.8トン(同11.7%減、前月予測からは8.0%下方修正)、てん菜が同72.2トン(同5.2%減、前月予測からは5.0%下方修正)、ばれいしょも同34.6トン(同6.5%減、前月予測からは5.2%下方修正)と、多くの品目で過去5年平均を下回ると予測される(表)。
一方、小麦などの冬作物は、既に成熟段階に達していたため、今回の熱波による影響は限定的とみられる。
牧草の生育状況に関しても、西欧および中欧の広範囲で悪化が見られ、これらの国では飼料供給に対する懸念が高まっている。特にドイツの南部および南西部では、サイレージ用のトウモロコシの収穫見通しの悪化によって飼料在庫に影響が及び、家畜の早期出荷・と畜につながっているとの報告がなされている。一方、北欧および東欧の一部での生育状況は比較的良好とされている。
関係団体は欧州委員会に対して支援策などを求める
欧州最大の農業生産者団体である欧州農業組織委員会・欧州農業協同組合委員会(Copa−Cogeca)は9月1日に声明を発し、牧草や飼料作物の急激な生産性の低下に伴う一部の地域での乳量減少など、畜産分野への影響も指摘した。また、最近の肥料や燃料価格の上昇によるコスト増も重なり、農業部門全体が深刻な状況にあるとして、欧州委員会に対し、短期・中期・長期の面からの追加的な支援策の実施を求めた。
欧州飼料製造業者連盟(FEFAC)は9月2日のプレスリリースで、域内のトウモロコシの不作を受け、700万トンの追加輸入量が必要になるとの試算を示し、ウクライナ産穀物の市場アクセス改善を求めた。さらに、飼料作物の不作を補うために、大豆かすやパーム核かすの輸入需要の増加を見込んでいる。これらの品目は、2026年末から適用予定の森林減少防止に関する規則(EUDR)の対象であるため、FEFACは同制度対応関連コスト抑制の観点から、EUDRの簡素化や適用除外措置の検討を求めた。
【調査情報部 令和8年9月10日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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