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2019/20年度主要穀物の生産状況等の調査結果(第5回)を公表(ブラジル)

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 ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は2月11日、2019/20年度(10月~翌9月)第5回目となる主要穀物の生産状況等調査結果の要約版を、同20日に州ごとの分析や細かい講評を加えた完全版を公表した。当該調査は、春植えの夏期作物(大豆、第1作トウモロコシなど)や秋植えの冬期作物(第2作・第3作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など)の生産予測を毎月公表するものである。これによると、穀物合計では作付面積、単収がともに前年度を上回ることから、生産量も前年度を上回ると見込まれている(表1)。
 トウモロコシの生産量は、第1~3作トウモロコシの単収がいずれも減少するものの、作付面積が前年を上回ることから、過去最高を更新する見込みとなった(図1)。また、大豆については、作付面積および単収の増加が続いていることから、過去最高を更新する見込みとなった。4回連続で増加見込みとなっており、さらに記録を更新する見込みとなっている(図2)。
表1
図1
図2
(参考)2019/20年度主要穀物の生産状況等の調査結果(第4回)を公表(ブラジル)
https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002596.html
地図

トウモロコシ生産量は過去最高を更新する見込み

第1作は単収が再び下方修正されるも、作付面積が上方修正される

 第1作トウモロコシの生産量は、前年度比1.6%増の2605万8200トンと見込まれている(表2)。
 しかしながら、主要生産州(上位5州)の生産量は同0.4%減とわずかに減少すると見込まれている。これは、第1作の最大生産州である南部のリオグランデドスル州において、昨年12月から1月上旬にかけて干ばつが発生したことから、単収が同16.5%減と見込まれていることが大きく影響している。一方、パラナ州では相場の高い大豆の作付けが増加傾向で、作付面積は同2.8%減と前回公表の同6.0%減から減少幅の縮小を見込む一方、天候が良く単収は同5.7%増の見込みとなったことから、生産量は同2.8%増となり、前年を上回る見込みとなった(前回公表は同1.3%減)。サンタカタリーナ州においても天候が良く、単収が前年を上回ることから、生産量も同1.7%増の見込みとなったものの、一部で病害が発生しているとの報告もある。また、中西部のゴイアス州においても、作付面積、単収共に前年を上回ることから、生産量は同12.7%増の見込みとなった。
表2

第2作および第3作の生産量、単収が減少見込みも不透明

 第2作および第3作トウモロコシの生産量は、それぞれ前年度比0.1%増の7327万1200トン、同5.1%減の115万6500トンと見込まれている(表3、4)。今回から第2作の作付面積が更新されており、最大生産州のマットグロッソ州では、トウモロコシ価格が堅調であることから、作付面積を増やす農家が多く、生産量は同8.7%増の3373万3200トンと見込まれている。ただし、第2作はまだ作付けが始まったばかりであることから、単収は前回公表と大きく変わっていないものの、今後の天候次第で大きく変動する可能性もある。なお、第3作は5月から播種が始まるため、今回の報告では、まだ作付面積の予測が行われておらず、前年度並みに仮置きされており、今後、徐々に見通しが判明する見込みである。
表3
表4

マトピバ地域の生産量は前年をわずかに上回る

 北東部に位置する新興農業開発地域のマトピバ地域(同地域の生産量はブラジル全体の生産量の約7%を占める)におけるトウモロコシ生産量は、作付面積が増加したことから、前年度比2.9%増の665万100トンと見込まれている(表5)。
 マラニョン州では、大豆生産を減らしトウモロコシ生産を増やしたことから前回公表と比べて作付面積が大きく上方修正され、生産量は同10.5%増の見込みとなった。
表5
参考1

大豆は、4回連続で生産量が上方修正される

 大豆は、作付面積の増加傾向が続く見通しであることから、前年度比7.1%増の1億2324万9900トンと過去最大の生産量が見込まれている(表6)。堅調な相場により生産者の作付意欲が高く、天候も比較的良かったことから単収も増加する見込みとなっている。公表回を追うごとに生産量が上方修正され、さらに記録を更新する見込みとなっている。
 最大生産州のマットグロッソ州では、天候も良好なため、前回公表と比べて単収も上方修正されており、生産量は同5.4%増の見込みとなった。一方、南部のリオグランデドスル州では干ばつの影響があったことから、前回公表と比べて単収が下方修正されており、生産量は同5.9%減の1805万3600トンと見込まれている。
表6

マトピバ地域ではトウモロコシ生産への切り替えの動きがあり、作付面積が下方修正

 マトピバ地域の大豆生産量(同地域の生産量はブラジル全体の生産量の約12%を占める)は、前年度比5.4%増の1421万3700トンと見込まれている(表7)。一部で大豆生産からトウモロコシ生産に切り替えた動きがあったことから、作付面積は前回公表と比べて下方修正されたものの、比較的天候が良かったことから単収が前回公表と比べて上方修正された。
表7
参考2
参考3
【山口 真功 令和2年2月28日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9472