2025年11月12日から14日まで、上海市において第28回FHC(Food&Hospitality China)上海グローバル食品展が開催された。同展示会は上海博華国際展覧有限公司が全連ベーカリー業公会(全联烘焙业公会)、上海市飲食調理業界協会(上海市餐饮烹饪行业协会)および中国食品土畜輸出入商会と合同で開催するBtoBイベントで、中国で消費が伸びる旧正月(春節。26年は2月17日)に向けた商戦の場ともなっている。中国の食品関係の総合展示会の中では来場者数上位5位に入る大規模な展示会であり、前回の第27回にはバイヤー、輸入代理商、サプライヤーなど業界関係者が17万1828名来場した(第26回比で1割強の増加)。そのうち海外からの来場者は98か国5611名であった。なお、今回もJETRO上海事務所が日本館を出展していた。
同じく上海で開催され、同規模を誇る総合食品展示会「SIAL・上海」(10月の国慶節に向けた商戦の場として、フランスの展示ビジネス会社主催により、25年5月19日~21日に開催)とは異なり、FHCには「肉類エリア」の設定はないものの、肉類のブースが多数出展され、貿易関係で緊張状態にある米国からの出展、近年輸入が伸びているというニュージーランドの鹿肉などのブースも見られた。
また、乳製品については、中国乳業メーカー売上第2位の蒙牛がベーカリー商品シリーズ(有機牛乳や有機ホイップ、マスカルポーネ風バター、抗酸化機能を有する調整乳など)を出展した。同ブース内には自社商品を使用したケーキも複数出展され、顧客に対して調理指導を行うこともアピールしていた。乳製品市場では近年イタリアが存在感を強めており、中国の乳製品輸入先として23年の第5位から25年(1~9月まで)には第3位と浮上しているが、イタリアエリア内のあるチーズ出展企業は「FHCで試食を提供するために本国から輸送したチーズが上海の海関(税関)で止められてしまった。その理由は、商品の申告価格が低過ぎ、脱税の疑いがあるというもので、高額な追加徴税を要求されたため、販売価格に関する資料を提出した。現在、最初に申告した価格情報に虚偽はなかったことについて上海海関の確認は終了したものの、北京の海関総署で判断中と聞いている。今回の会期内に商品が届かない可能性が高く、非常に残念である」と語った。
なお、中国では全国各地で博覧会、展覧会の類が多数開催されているものの、景気の低迷や地方政府の財政難に伴う開催支援の縮小などから、この1、2年は開催数減少と規模縮小の傾向にある。今年のFHCも、アルコール類専門展示会である「ProWine上海」(国際葡萄酒および烈酒(アルコール度数の高い種類)貿易展覧会)のほか、国際果物野菜展覧会、グローバル地理的表示産品展など複数の展示会と同一会場、同時期での開催となっていた。相乗効果が見込める複数の展示会を同時に開催することでバイヤーなど業界関係者の来場数を確保しようとの狙いがあると考えられる。

写真1 博覧会入り口付近の様子