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2011/12年度の中南部の砂糖の生産量予測を下方修正(ブラジル)

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最終更新日:2011年7月15日

 ブラジルさとうきび産業協会(UNICA)は7月13日、国内生産の約9割を占める中南部の生産量について、2011/12砂糖年度(4月〜翌3月)における第2回目の見込みを発表した。これによれば、さとうきびの生産量は前年度比4.21%減の5億3350万トンと予測され、3月末の第1回予測と比較して6.16%下方修正された。また、砂糖生産量についても前年度比3.35%減の3240万トンと、前回予測から6.36%下方修正された。
表1
UNICAは、今回の下方修正を単収および糖度(ATR(さとうきび1トン当たりの回収糖分))の低下によるものとし、その背景を以下の3点から分析している。

 (1)さとうきびの更新の遅延
 2011/12年度は、株出し回数が4回以上の古株の割合が全体の5割強と前年度より増えている。さとうきびの更新は、2008年の国際金融危機以降、資金不足により遅れており、生産性の低い状態となっている。
表2
(2)乾燥した気候
 2010年の乾燥した気候によってさとうきびの生育が遅れていたところ、今年度に入っても乾燥した気候が続いたため、単収の低下が、前回予測時よりさらに拡大した。

(3)降霜による影響
 6月末にサンパウロ州、マットグロッソドスル州およびパラナ州で降霜があり、生育の遅れや組織が壊死するといった影響が出た。この結果、さとうきびの収穫見込み量が減少した。

  UNICAによれば、更新の遅れと2010年の干ばつの影響については、前回予測時点ですでに指摘されていたが、今回、新たに今年度の乾燥した気候と霜害が減産要因として加えられた。

 UNICAがブラジル中南部の生産予測を下方修正するとの観測を受け、7月12日のNY相場(期近)は、1ポンド当たり30.49セントと、3月上旬以来の高値になった。今回発表の予測値は、関係者の見込みほど低くなかったことなどから、公表後の14日のNY相場は29.02セントに下落したものの、依然として高い水準にある。
 UNICAによると、現在、さとうきびの生育状態が各地で異なる上、例年と異なる気象などにより、過去のデータに基づいた手法では生産量の予測は困難であると言う。UNICAは、砂糖生産に重要な糖度に関しても、変動要因が多く、現時点で予測することが難しいとし、今後も予測を修正する必要があると見ている。このため、ブラジルの生産動向には引き続き関係者の注目が集まるとみられる。

【岡 千晴  平成23年7月15日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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