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国内の需給動向【豚肉】   畜産の情報 2018年11月号

30年度下半期の豚肉販売、小売業者では増加の見通し

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 平成30年8月の豚肉需給を見ると、生産量は7万135トン(前年同月比0.1%増)と前年同月並みとなった。輸入量は7万9654トン(同1.6%増)と前年同月をわずかに上回った。輸入量のうちテーブルミートとして消費されることの多い冷蔵品は、好調な需要を背景に3万6910トン(同1.1%増)と前年同月をわずかに上回った。また、主に加工業務用として使用される冷凍品は前年同月をわずかに上回る4万2743トン(同1.9%増)となった。推定出回り量は前年同月をわずかに上回る14万9734トン(同1.5%増)となり、推定期末在庫は前月と同水準の17万6030トンと前年同月をわずかに下回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

 

好調なテーブルミート需要


 総務省「家計調査報告」によると、全国1人当たりの豚肉家計消費は、牛肉や鶏肉と同様、おおむね好調に推移している。平成30年8月は、今夏の猛暑で消費減退が懸念されたものの、好調なテーブルミート需要を背景に、金額が815円(前年同月比0.4%増)、数量が566グラム(同2.1%増)といずれも18カ月連続で前年同月を上回った(図3)。また、当機構が実施した「食肉販売動向調査結果(以下「調査結果」という)」(注1)によると、小売業者における30年度下半期の豚肉の販売見通しが国産豚肉と輸入豚肉のいずれも前年同期比で「増加」の割合が「減少」を上回ったことから、引き続き豚肉販売は好調に推移する見通しとなっている(図4)。なお、輸入豚肉は、量販店、食肉専門店ともに国産豚肉よりも「増加」が多く、「減少」が少なかった(注2)。これは、国産に比べ価格優位性のある輸入品(冷蔵)を品質面でも評価する声があることも一因として挙げられる。
 

注1:「食肉販売動向調査」とは、当機構が年に2回実施している卸売業者および小売業者を対象とした食肉の取り扱いや販売見通しに関するアンケート調査。なお、本アンケート調査の全文は当機構ホームページに掲載している。(https://www.alic.go.jp/r-nyugyo/raku02_000060.html
 2:調査期間中(7月16日〜8月6日)は、国産豚肉の卸売価格が高値で推移していたため、小売業者が輸入豚肉に比べて弱気に見込んだ可能性があることに留意が必要。


 

図3 豚肉の家計消費の推移
 
 
図4 豚肉の家計消費の推移
 
 

一次加工品取扱も増加


 「調査結果」では、今回、食肉の一次加工品(注3)についても取り上げており、そのうち小売業者における豚肉の一次加工品の取扱見通しを見ると、「消費者の時短・簡便志向の高まり」を背景に、量販店、食肉専門店ともに「増加」の割合が「減少」よりも高かった(図5)。
 
図5 豚肉の一次加工品の取扱見通し

 
 また、アイテム別に見ると、取扱割合は、量販店、食肉専門店ともに「焼肉用味付け肉」「ポークソテー用味付け肉」「衣付け肉」が高かった。なお、30年度下半期の取扱見通しで「増加」の割合が「減少」を上回ったのは、量販店では「焼肉用味付け肉」「ポークソテー用味付け肉」、食肉専門店では「焼肉用味付け肉」「衣付け肉」となった。

注3:「食肉の一次加工品」とは、味付け肉、衣付け肉、ハンバーグのタネなどの非加熱の付加価値商品を指す。なお、唐揚げ・ステーキ用などのカットのみの食肉、食肉総菜、内臓品は除く。


(畜産需給部 河村 侑紀)
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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