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国内の需給動向【鶏肉】   畜産の情報 2018年11月号

小売店の鶏肉販売、増加の見通し

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  平成30年8月の鶏肉需給を見ると、生産量は12万5111トン(前年同月比0.3%増)と前年同月並みとなり、輸入量は5万804トン(同2.4%減)と前年同月をわずかに下回った。国別輸入量では、ブラジル産が3万4598トン(同9.6%減)、タイ産が1万4589トン(同30.3%増)とストライキによるブラジル産の減少を補う動きとなった。推定出回り量は17万4904トン(同5.0%増)と前年同月をやや上回り、推定期末在庫は前月から1011トンを積み増して、16万8961トン(同7.0%増)と、前年同月をかなりの程度上回った。
 推定期末在庫のうち、輸入品は近年の輸入量の増加により14万65トン(同7.0%増)、国産品は2万8896トン(同7.0%増)と依然として高水準な在庫量を維持している(農林水産省「食鳥流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

 

8月の鶏肉購入単価は低下

 30年8月の卸売価格については、もも肉が1キログラム当たり560円(前年同月比2.4%減)と14カ月連続で、むね肉が同275円(同15.8%減)と5カ月連続で、いずれも前年同月を下回った(図6)。また、8月の家計消費を見ると、全国1人当たり購入数量は431グラム(同7.2%増)と前年同月を5カ月連続で上回った。一方、購入金額は390円(同1.4%減)と18カ月ぶりに前年同月を下回り、全国1人当たりの鶏肉の購入単価が低下している(図7)。この背景として、近年の鶏肉への底堅い需要に対し、それを上回る供給が続いていることが考えられる。


図6 鶏肉卸売価格の推移


図7 鶏肉一人当たり購入単価
 

 今後の需給動向について、供給面は、ブロイラー用のひなえ付け羽数が長期的に前年同月を上回って推移しており、今後も順調な供給が続くとみられる。
 需要面では、当機構が実施した「食肉販売動向調査結果」(注)によると、小売業者における30年度下半期の鶏肉販売見通しとして、国産鶏肉は増加すると予想した小売業者が5割近くに上がったことから小売店からの引き合いは強まると考えられる。また、今後の卸売相場については鍋物やクリスマスなど、これから季節的に最需要期に入ることから、堅調な相場の展開を予想する声が多くみられる。
 

注:「食肉販売動向調査」とは、当機構が年に2回実施している卸売業者および小売業者を対象とした食肉の取り扱いや販売見通しに関するアンケート調査。なお、本アンケート調査の全文は当機構ホームページに掲載している。(https://www.alic.go.jp/r-nyugyo/raku02_000060.html

 

(畜産需給部 岩井 椿)

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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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