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国内の需給動向【牛乳・乳製品】   畜産の情報 2018年11月号

脱脂粉乳・バターの民間在庫量、比較的高い水準で推移

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  平成30年8月の生乳生産量は、60万6791トン(前年同月比1.0%増)と11カ月連続で前年同月を上回った(図8)。
 地域別に見ると、北海道が33万9541トン(同2.8%増)と12カ月連続で前年同月を上回った一方、都府県では離農などによる減産傾向が続いているほか、記録的な猛暑による乳量減少などの影響もあり、26万7250トン(同1.2%減)と30カ月連続で前年同月を下回った。
 用途別処理量を見ると、牛乳等向けは健康機能を伝えるテレビ番組によるゴールデンウイーク明け以降の好調な牛乳消費やカフェラテなどの業務用需要の増加などを背景に、33万3332トン(同1.8%増)と4カ月連続で増加し、乳製品向けも26万9330トン(同0.2%増)と前年同月並みとなった。このうち、脱脂粉乳・バター等向けは前年同月比1.6%増となった(農林水産省「牛乳乳製品統計」、農畜産業振興機構「交付対象事業者別の販売生乳数量等」)


図8 生乳生産量の推移


 

9月のホクレン生乳受託数量、地震発生により13カ月ぶりのマイナス


 ホクレン農業協同組合連合会によると、平成30年9月の生乳受託乳量(速報値)は、29万1036トン(前年同月比5.2%減)と前年同月をやや下回った。生乳生産量の過半を占める北海道では、29年産粗飼料が良質だったこともあり、29年9月以降、前年を上回って推移していた。しかしながら、9月6日の北海道胆振東部地震発生に伴う道内全域での停電による酪農現場での相当量の生乳廃棄、搾乳遅れによる乳房炎発症に伴う乳量減少などにより、13カ月ぶりに減少に転じた。主産地別に見ると、帯広地区が前年同月比1.3%減、中標津地区が同9.8%減、北見地区が同2.2%減、釧路地区が同7.6%減といずれも前年同月を下回った。
 同速報によると、9月下旬の生乳受託数量は、10万3201トン(同1.0%増)と前年同期を上回っており、生乳生産量は徐々に回復に向かっていると見込まれるものの、6月中旬以降の長雨による牧草の収穫遅れの影響も懸念されており、今後の生産動向が注視されている。

 

民間在庫量、脱脂粉乳・バターともに高水準


 平成30年8月の民間在庫量は、脱脂粉乳が6万5115トン(前年同月比22.7%増)、バターが2万6958トン(同0.4%減)となった(図9、10)。
 脱脂粉乳については、堅調な需要やEUの在庫増による世界的な脱脂粉乳価格の弱含みを背景に、輸入量の増加が続いていたことから、前年を大幅に上回る水準で推移している。
 バターについても、量販店などで家庭用バター不足が話題となった26年10月と比較すると、製菓・製パン工場など工場向けのバラバターは70.2%増、店舗向けのポンド・シート・バターは2.1倍(同209.8%増)、家庭用バターは7.5%増といずれも高い水準にある。
 乳業メーカー各社によると、年末向けの業務用バターは手当て済み、脱脂粉乳は十分な在庫により安定していることから、足下の不足感はないものとみられる。


図9 脱脂粉乳の民間在庫量の推移 図10 バターの民間在庫量の推移
 
(畜産需給部 二又 志保)
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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