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海外の需給動向【牛乳・乳製品/米国】  畜産の情報 2018年11月号

乳製品の生産は堅調な一方、輸出には障壁も

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1頭当たり乳量の増加が生乳生産を下支え
 

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2018年9月19日に公表した「Milk Production」によると、7月の生乳生産量は、前年同月比0.5%増の785万4000トンとなった(表12)。このうちカリフォルニア州は、高温に見舞われたことで1頭当たり乳量が減少したことから、同2.3%減の149万5000トンとやや減少した。
 
表12 生乳生産量の推移


 経産牛飼養頭数は、酪農家の収益性の低下や草地状態の悪化などによる経産牛淘汰の増加により、8月は前年同月並みの940万頭となった。一方、1頭当たり乳量は、同1.4%増の883キログラムとなった。この結果、同月の生乳生産量は、同1.4%増の782万2000トンとわずかに増加した。
 2018年第3四半期(7〜9月)、第4四半期(10〜12月)の生乳生産量についてUSDAは、引き続き1頭当たり乳量が増加することから、それぞれ前年同期比1.1%増、同1.3%増と見込んでいる。

 

酪農マージンは低調に推移
 

 USDAによると、2018年8月の全米平均生産者乳価は、前年同月比12.2%安の100ポンド当たり15.9米ドル(1キログラム当たり40円:1米ドル=115円)と、8カ月連続で前年同月を下回った。
 乳価が低調に推移する一方、トウモロコシや大豆かす、アルファルファの相場が前年を上回ったことから、8月の酪農マージンは、同27.7%安の生乳100ポンド当たり7.43米ドルと前年同月を大幅に下回った(図12)。
 
図12 酪農マージンの推移
 

チーズ生産は堅調に推移
 

 USDA/NASSが2018年9月5日に公表した「Dairy Products」によると、7月のチーズ生産量は、前年同月比3.7%増の49万7000トンと増加した(図13)。チーズの生産量は、国内外からの堅調な需要を反映して、2013年4月以降前年を上回って推移している。
 
図13 チーズ生産量の推移

 同月のバター生産量は、同0.5%増の6万2000トンとなった。チーズやアイスクリームの製造者からの生乳需要が高まったことから、バターの生産はわずかな増加となった。
 また、USDA/NASSが2018年9月24日に公表した「Cold Storage」によると、8月末時点のチーズ在庫量は、同1.9%増の61万7000トンとなった。バター在庫量は、同3.8%増の13万2000トンとなった。

 

チーズ輸出は鈍化

  米国農務省海外農業局(USDA/FAS)によると、2018年7月のチーズの輸出量は、前年同月比1.4%増の2万8000トンとなった(図14)。
 輸出先別に見ると、最大の輸出先であるメキシコは、チーズを含む米国産乳製品に対して報復関税を課したことにより、同0.6%減の7000トンとなった。なお、6月の同国向け輸出量は、同43.2%増と大幅に前年を上回った。6月も報復関税は課されていたものの、7月の関税率引き上げ(10〜15%→20〜25%)を見越して増加したと考えられている。
 また、輸出先第2位の韓国は同11.1%増の5000トンとなったものの、第3位の日本および第4位の豪州は、それぞれ同14.0%減の3000トン、同3.8%減の2000トンとなった。7月から米国産チーズなどに報復関税を課した中国は、同56.1%減の500トンとなった。
 

図14 チーズ輸入量の推移
 
(調査情報部 渡辺 陽介)
このページに掲載されている情報の発信元
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