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国内の需給動向【鶏肉】   畜産の情報 2018年12月号

平成30年度上半期の需給、生産量・出回り量ともに過去最高を記録

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 平成30年9月の鶏肉需給は、生産量は12万4097トン(前年同月比2.8%減)と17カ月ぶりに前年同月を下回った。これは8月、9月にかけて猛暑の影響を受け、生体重量が減少したことが要因とみられる。輸入量は、積みあがった在庫を調整する動きなどから4万261トン(同27.3%減)と前年同月を大幅に下回った。9月の推定出回り量は、生産量、輸入量の減少を反映し17万516トン(同5.0%減)と前年同月をやや下回った。推定期末在庫は、前月から6158トン取り崩し16万2803トン(同0.8%増)となった。(財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。


上半期の輸入量、在庫積み増しに伴い減少

 平成30年度上半期(4〜9月)の生産量は78万714トン(前年同期比1.2%増)と過去最高を記録した(図6)。要因としては、近年の底堅い需要を受けて生産者の増産意欲が高まったことで、ブロイラーのひなえ付け羽数が増加傾向で推移したことなどが挙げられる。
 また、上半期の輸入量は、27万7340トン(同5.4%減)と前年同期をやや下回った。輸入相手国別に見ると、本来高い供給力と価格面での優位性を有するブラジル産は19万4347トン(同9.5%減)と前年同期をかなりの程度下回り、全輸入量に占める割合は70.1%(同2.9ポイント減)となった。一方、加工技術が高く、骨なし角切りもも肉の割合が高いタイ産は7万2678トン(同13.1%増)と前年同期をかなり大きく上回り、全輸入量に占める割合は26.2%(同4.2ポイント増)となった。なお、主にクリスマス需要向けの骨付きもも肉が大半を占める米国産は9217トン(同19.0%減)と前年同期を大幅に下回り、全輸入量に占める割合は3.3%(同0.7ポイント減)となった。

 
図6 鶏肉の生産量、輸入量および推定期末在庫の推移
 


上半期の推定出回り量、4年連続100万トンを超える

 平成30年度上半期の推定出回り量は、消費者の経済性志向や健康志向などを反映し107万1803トン(前年同期比3.2%増)となり、4年連続で100万トンを超え、過去最高を記録した。
 また、30年9月の推定期末在庫は、16万2803トン(前年同月比0.8%増)と高水準の輸入量で積み上がっていた前年同月をわずかに上回り、引き続き高水準となった。


上半期の鶏肉相場、もも肉むね肉ともに前年を下回る

 平成30年度上半期の鶏肉卸売価格(東京)を見ると、27年から28年にかけ高値が続き設備投資が広がるなど、生産者の増産意欲が高まったことを背景に生産量が過去最高となった。その結果もも肉価格は、昨年7月以降14カ月連続で前年同月を下回って推移し、30年度上半期の単純平均で1キログラム当たり586円(前年同期比5.1%安)と前年同期をやや下回った。一方、むね肉価格は、競合する輸入品が在庫過多であったことから、すべての月で前年同月を下回り、上半期の単純平均は同286円(同14.1%安)と前年同月を下回った(図7)。
 なお、10月は、もも肉は同587円(前年同月比2.1%安)と例年通り需要期に向けて上昇傾向となった。また、むね肉は同281円(同14.1%安)と前年同月をかなり大きく下回った。

 
図7 鶏肉卸売価格の推移(東京)

 
(畜産需給部 岩井 椿)
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