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海外の需給動向【牛肉/米国】  畜産の情報 2018年12月号

フィードロット飼養頭数は過去最高も、頭打ちとの予測も

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フィードロット導入頭数は5カ月ぶりに前年同月を下回る

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2018年10月19日に公表した「Cattle on Feed」によると、9月のフィードロットへの肥育もと牛導入頭数は、7月および8月の導入頭数がかなり多かったことなどから、前年同月比4.6%減の205万1000頭と、5カ月ぶりに前年同月を下回った(表1)。重量カテゴリー別に見ると、前年同月比で増加したのは、600ポンド未満のみで、同4.9%増となった。これは、干ばつの影響で草地の状態が悪いテキサス州などでフィードロットへの早期出荷が増えているためとみられている。
 
表1 フィードロット導入頭数の推移



未経産牛のフィードロット飼養頭数が増加

 2018年9月のフィードロットからの肥育牛出荷頭数は、前年同月比3.4%減の171万9000頭となった。ただし、これは食肉パッカーの稼働日が少なかったためで、1日当たりでは同1.6%増とみられている。
 10月1日時点のフィードロット飼養頭数は、9月の導入頭数が減少した一方、出荷頭数も減少したことから高水準を維持し、同5.4%増の1140万頭と、同月としては過去最高となった。今後のフィードロット飼養頭数は、導入頭数が減少するとの見込みから、11月にピークを迎えた後、減少傾向に転じるとの予測もある。
 10月1日時点の飼養頭数のうち未経産牛が占める割合は、収益性の悪化などによる繁殖農家の牛群拡大意欲の減退で雌牛の保留が減少していることから、同1.9ポイント増の37.8%となった(図1)。この割合は牛群が縮小傾向にあった2010年や2011年の値に近づいていることから、現在の牛群拡大局面は今後、鈍化すると見込まれている。
 
図1  フィードロットにおける未経産牛飼養割合の推移


カナダ向け生体牛輸出が大幅に増加

 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2018年8月の肥育もと牛価格は、フィードロットの導入意欲が高かったことなどから、前年同月比6.2%高の100ポンド当たり164.84米ドル(1キログラム当たり414円:1米ドル=114円)となった。9月は、同1.4%高の同161.43米ドル(同406円)となった。
 また、2018年8月のカナダ向け生体牛輸出頭数は、カナダのフィードロットからの肥育もと牛需要が高まっていることなどから、前年同月比78.8%増の1万5000頭となった(図2)。カナダの肥育もと牛価格が米国の肥育もと牛価格より上昇していることも、米国産肥育もと牛への需要が高まっている要因とされている。

 
図2 カナダ向け生体牛輸出頭数の推移
 
(調査情報部 渡辺 陽介)
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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