畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > 生乳出荷量は2カ月連続で前年同月水準で推移

海外の需給動向【牛乳・乳製品/EU】  畜産の情報 2019年1月号

生乳出荷量は2カ月連続で前年同月水準で推移

印刷ページ
9月の生乳出荷量は前年同月と同水準

 欧州委員会によると、2018年9月の生乳出荷量(EU28カ国)は、1244万4840トン(前年同月比0.1%減)となった(図16)。2017年3月以降、増加傾向で推移していた生乳出荷量は、増加のペースが鈍化しており、9月は前月に続き前年同月と同水準となった。

 
図16 生乳出荷量の推移
 

 9月の出荷量を加盟国別にみると、アイルランド(同9.4%増)、ベルギー(同2.6%増)、ポーランド(同2.4%増)、デンマーク(同2.0%増)などは増産となった一方、オランダ(同4.5%減)、フランス(同1.7%減)、イタリア(同1.0%減)などでは減産となった(表10)。
 同年1〜9月の生乳出荷量の合計は、1億1992万2000トン(前年同期比1.2%増)となった。

 
表10 生乳出荷量の推移(EU主要生産国)
 
 
乳脂肪および乳たんぱく質含有率は前年同月を下回って推移

 9月の生乳の乳脂肪および乳たんぱく質含有率は、いずれも前年同月を下回った。乳脂肪含有率は前年同月を0.04ポイント下回る4.03%、乳たんぱく質含有率は同0.01ポイント下回る3.43%となった。乳脂肪含有率は5カ月連続で、乳たんぱく質含有率は6カ月連続で前年同月を下回って推移しており、この夏の猛暑によるストレスと、干ばつの影響で牧草の生育が芳しくなかったことの影響が続いているものと考えられる。なお、乳脂肪および乳たんぱく質含有率の低下は、乳製品の生産量にも影響を及ぼす点にも留意が必要である。
 9月の乳製品生産量を見ると、全粉乳(前年同月比0.7%増)を除き、チーズは同3.6%減、バターは同2.0%減、脱脂粉乳は同6.8%減と、主要乳製品の生産量は前年同月を下回っている。


脱脂粉乳公的在庫の売渡入札は、2万トンを超えて落札

 欧州委員会は11月23日、28回目となる脱脂粉乳公的在庫の売渡入札の結果、2万6082トンが落札されたと公表した(表11)。売渡最低価格が2018年に入ってからの最高価格となるなど応札は一時期の低調から盛り返し、順調に推移している。
  応札数量は前回から35.4%増加し、過去3番目の量となった。また、落札数量は、今回を含め過去3回で2万6000トン〜3万トンと高水準で推移している。
 売渡最低価格は、100キログラム当たり131.30ユーロ(1万7200円:1ユーロ=131円)と、前回から5.0%高となった。同価格は、直近のEU平均卸売価格(11月12日の週平均:158.52ユーロ(2万766円))より17.2%、公的買入価格(169.80ユーロ(2万2244円))より22.7%下回っているものの、今年に入っての最高価格となるなど、回復しつつある市場価格の影響を受けて上昇傾向で推移している。
 当初、脱脂粉乳公的在庫は約38万トンまで積み上がっていたが、第28回の売渡入札までの売渡数量は合計で21万6566トンとなり、ピーク時の半分未満にまで在庫の取り崩しが進んでいる。

 
表11 脱脂粉乳公的在庫の売渡入札の実績
 
(調査情報部 前田 絵梨)
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-4398  Fax:03-3584-1246