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国内の需給動向【豚肉】   畜産の情報 2019年2月号

豚肉消費、全年齢階級で増加傾向

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 平成30年11月の豚肉需給を見ると、生産量は8万2254トン(前年同月比2.1%増)と前年同月をわずかに上回った。輸入量は8万3346トン(同2.2%減)と前年同月をわずかに下回った。輸入量のうち主にテーブルミートとして消費される冷蔵品は、3万9880トン(同1.6%減)と前年同月をわずかに下回った。また、主に加工・業務用に仕向けられる冷凍品も前年同月をわずかに下回る4万3464トン(同2.7%減)となった。推定出回り量は前年同月をやや上回る16万8018トン(同3.0%増)となり、推定期末在庫は前月から2490トン取り崩し、16万3417トン(同3.7%減)と前年同月をやや下回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。


増加率の大きい高年層の豚肉消費

 日本国内では、人口減少や少子高齢化が進む中、訪日外国人の増加に伴うインバウンド需要に加え、近年の肉ブームを背景とした一人当たり食肉消費量の増加が、食肉全体の消費量を下支えしている。平成30年12月14日に厚生労働省が公表した「国民健康・栄養調査」によると、29年の豚肉摂取量は、一人一日当たり39.3グラム(24年比14.9%増)となり、5年前の24年から全年齢階級で増加した。豚肉は特に高年層の摂取量の増加率も大きく、少子高齢化が進む中で、他の年齢階級と比べ摂取量が少ない高年層の今後の伸びが期待されている(図4)。

 
図4 年齢階級別豚肉摂取量


29年豚肉総産出額、前年比6.1%増

 平成30年12月25日に農林水産省が公表した「平成29年生産農業所得統計」によると、29年の豚肉総産出額は、前年を372億円上回る6494億円(前年比6.1%増)と3年ぶりの増加となり、平成が始まって以来の最高額となった(図5)。

 
図5 豚肉の全国総産出額の推移


 長期的な推移を見ると、平成3年の牛肉輸入自由化以降、価格が下落した輸入牛肉への需要シフトなどにより減少傾向にあった。7年以降は飼養戸数が減少する一方、大規模化が進展したことから、おおむね横ばいで推移し、近年は、豚流行性下痢(PED)の終息により出荷頭数が回復する中、家計消費を中心とした好調な消費を背景に価格が堅調に推移したことなどから、おおむね増加傾向で推移している。
 都道府県別シェアを見ると、上位6道県は、鹿児島県(全国シェア12.7%)、宮崎県(同8.4%)、千葉県(同8.3%)、北海道(同7.0%)、群馬県(同6.9%)、茨城県(同6.1%)と全体の5割弱を占め、前年の順位から群馬県と北海道が入れ替わった(図6)。
 なお、上位6道県については、志布志港や鹿島港など穀物輸入量の多い港湾が近くにあるため、飼料の調達などに優位性があるとされている。

 
図6 都道府県別豚肉産出額(平成29年)


豚コレラの発生状況

 農林水産省消費・安全局動物衛生課の発表によると、平成30年9月9日、岐阜県の養豚農場において、日本で26年ぶりとなる豚コレラの発生が確認された。12月25日までに岐阜県で合計6例の発生が確認されており、うち養豚農場での発生は2例(岐阜市、関市)となっている。発生農場の飼養状況は、岐阜市の養豚農場が579頭(繁殖豚75頭、肥育豚362頭、子豚142頭)、関市の養豚農場が7861頭(繁殖豚751頭、肥育豚2410頭、子豚4700頭)であった。
 豚肉輸出の再開については、相手国によって状況が異なっており、台湾向けについては輸出できないものの、岐阜県以外で生産、処理されたものについてはおおむね輸出が可能となっている(平成31年1月16日現在)。
 
(畜産需給部 河村 侑紀)
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