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国内の需給動向【牛乳・乳製品】 畜産の情報 2019年3月号

31年度の輸入枠数量、脱脂粉乳・バターともに2万トン

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牛乳・乳製品


 平成30年12月の生乳生産量は、60万9805トン(前年同月比0.2%減)と前年同月並みとなった(図7)。


図7 生乳生産量の推移
 

 地域別に見ると、都府県は27万6557トン(同1.3%減)と34カ月連続で前年同月を下回った。一方、北海道は33万3248トン(同0.8%増)と3カ月連続で前年同月を上回った。ホクレンによる地域別の内訳を見ると、帯広地区が前年同月比2.5%増、北見地区が同1.9%増、中標津地区は同0.5%増となった一方、釧路地区は同0.3%減となっており、一部地域では長雨により収穫が遅れた30年度産自給飼料の給餌や今冬の寒波により影響がみられている。
 用途別処理量を見ると、牛乳等向けは31万4609トン(同0.5%減)と減少した一方、乳製品向けは29万1181トン(同0.1%増)と前年同月並みとなった。このうち、脱脂粉乳・バター等向けは、生クリームや濃縮乳などの液状乳製品向けの減少により、前年同月比1.5%増とわずかに増加した(農林水産省「牛乳乳製品統計」、ホクレン農業協同組合「生乳受託乳量」、農畜産業振興機構「交付対象事業者別の販売生乳数量等」)。


Jミルク、31年度の需給見通しを公表

 一般社団法人Jミルクが平成31年1月30日に公表した「2019年度の生乳及び牛乳乳製品の需給見通しと課題について」によると、31年度の生乳生産量は、4年ぶりの増産となる734万9000トン(前年度比0.9%増)の見通しとなった。
 このうち、北海道については、性判別精液の活用などによる後継牛確保の取り組みなどを受けて、生乳生産の主力となる2〜4歳の乳用牛頭数の大幅な増加が見られることから、406万トン(同2.4%増)と見込んでいる。
 一方、都府県については、7月の記録的な猛暑以降の生乳生産の落ち込みが当初予想よりも少なかったものの、引き続き乳用牛頭数が減少していることから、328万9000トン(同0.9%減)と見込んでいる。ただし、性判別精液の活用により、29年8月以降、0歳の乳用牛頭数が増加に転じ、生乳生産の今後のけん引役となる1歳の乳用牛頭数の増加につながっていることから、再来年度は増産に期待が持てる状況となっている。
 脱脂粉乳・バター向け処理量については、北海道での生乳生産量の増加に伴い、増加が見込まれるものの、需要が好調な牛乳や発酵乳など飲用牛乳等向け処理量の増加も見込まれることなどから、脱脂粉乳・バターの需要量に対して国内生産量が下回る状況は続く見込みとなっている。
 
表 生乳生産量の見通し
 

農林水産省、31年度の輸入枠数量を公表

 このような状況の中、農林水産省は同日、機構による国家貿易について、平成31年度全体で、バター、脱脂粉乳、それぞれ2万トンの輸入入札を実施することを公表した。
 バターについては、バターの代替として利用されてきた調製食用脂(注)の相場上昇に伴い業務用バターへの需要回帰などを背景に今年度比7000トン増、脱脂粉乳については、潤沢な在庫量を背景に同7000トン減となった。
 今回の公表により、各メーカーなどは製品生産の年間計画を立てやすくなり、需給は引き続き安定すると見込まれる。

(注) 調製食用脂(PEF)は、乳脂肪分および植物性油脂などを混合した調製品。


30年の乳製品輸出金額、前年比6.4%増

 平成30年の牛乳・乳製品の輸出金額は153億円(前年比6.4%増)となった。これまでの輸出金額の推移を見ると、22年には約160億円に達したものの、口蹄疫や原発事故発生に伴う各国・地域の輸入規制措置などにより、23年から24年にかけて大幅に減少した。しかしながら、安心・安全といった強みを活かした輸出戦略・体制の確立などにより、香港や台湾、ベトナムなどのアジア向けを中心に、日本産牛乳乳製品の浸透と輸出拡大を進めた結果、29年には31年の輸出目標額(140億円)を達成している。
 品目別では、最も輸出金額の多い育児用粉乳が86億円(同6.3%増)、次いで、アイスクリームその他氷菓が36億円(同9.9%増)、チーズが12億円(同10.9%増)、LL牛乳が11億円(同10.8%増)となった(図8)。

 
図8 牛乳・乳製品の輸出金額の推移
 
(畜産需給部 二又 志保)