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海外の需給動向【豚肉/米国】  畜産の情報 2019年3月号

飼養頭数および生産量は増加も、今後の需給動向には懸念材料も

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12月の豚飼養頭数は前年同月比1.9%増

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2018年12月20日に公表した「Quarterly Hogs and Pigs」によると、12月1日時点の豚総飼養頭数は、前年同月比1.9%増の7455万頭と4年連続で過去最高を更新した(表1)。この内訳を見ると、繁殖豚は同2.4%増の632万6000頭、肥育豚は同1.9%増の6822万5000頭となった。飼養頭数増加の背景には、比較的安定している飼料穀物価格や国内外からの堅調な豚肉需要などが挙げられる。
 
表1 豚飼養頭数の推移
 

 また、9〜11月の分娩母豚頭数は、315万8000頭と前年同期比1.8%増加した。一方、前期(6〜8月)から2万7000頭(前期比0.1%減)減少していることから、生産者の増頭意欲の高まりに陰りが表れたとする見方もある。
 9〜11月の産子数は、分娩母豚頭数および1腹当たりの産子数がともに増加したことから、同2.0%増の3397万8000頭となった。
 また、州別に飼養頭数を見ると、最大の生産州であるアイオワ州が前年同月比2.2%増の2330万頭となったほか、その他の主要生産州でもおおむね前年同月を上回った(表2)。

 
表2 州別豚飼養頭数の推移
 

豚肉生産量は1月も堅調

 USDA/NASSが2018年12月20日に公表した「Livestock Slaughter」によると、11月の豚と畜頭数(連邦検査ベース)は、生体豚の供給が増えていることなどから、前年同月比4.7%増の1098万2000頭となった。1頭当たりの枝肉重量は、前年並みの96.6キログラムとなった。これらの結果、同月の豚肉生産量(連邦検査ベース)は、同4.6%増の106万トンとなった。
 また、米国農務省農業マーケティング局(USDA/AMS)によると、豚肉生産量は1月に入っても前年同期を上回って推移しており、1月第4週目(20〜26日)は前年同期比5.7%増の24万2000トンとなった(図7)。この期間についても、と畜頭数の増加(同8.6%増)が生産量の増加に寄与した。
 
図7 豚肉生産量の推移

 
 表1のとおり50ポンド未満の肥育豚頭数が小幅な増加となったことから、これらの出荷が見込まれる第2四半期(4〜6月)以降の豚肉供給への影響を懸念する声もある。同時期には、アフリカ豚コレラが相次いで発生している中国の豚肉輸入が増えるのではないかとする現地関係者もおり、4月以降の需給動向が注目されている。

 
(調査情報部 渡辺 陽介)