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海外の畜産物の需給動向【牛肉/豪州】  畜産の情報 2019年4月号

2019年牛飼養頭数、2000年以降過去最少の見込み

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2018年牛肉生産量、干ばつによると畜頭数の増加に伴いかなり増加

 豪州統計局(ABS)によると、2018年12月の成牛と畜頭数は、クイーンズランド(QLD)州およびニューサウスウェールズ(NSW)州で発生している干ばつにより雌牛を中心に淘汰が増加していることから、54万6100頭(前年同月比8.2%増)と9カ月連続で増加した。また、同月の牛肉生産量は、と畜頭数の増加により15万8874トン(同5.4%増)と増加した。
 この結果、2018年の成牛と畜頭数は、786万2500頭(前年比9.8%増)とかなり増加した(図4)。と畜頭数の内訳を見ると、雄牛は、387万5000頭(同0.7%減)とわずかに減少した一方、雌牛は、398万7500頭(同22.5%増)と大幅に増加した。これにより、と畜頭数全体に占める雌牛の割合は、50.7%と、QLD州で深刻な干ばつが発生した2014年以来、4年ぶりに50%を上回った。
 牛肉生産量は、1頭当たり枝肉重量が体重の軽い雌牛の増加に伴い290.8キログラム(同2.3%減)とわずかに減少したものの、228万6465トン(同7.3%増)とかなり増加した。
 
図4 成牛と畜頭数の推移

 
2019年牛肉生産・輸出量、牛飼養頭数減により減少見込み

 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)は1月31日、「Industry projections 2019」において、四半期に一度の牛肉生産量などの見通しを公表した(表2)。2019年の見通しは次のとおり。

 
表2 牛肉生産量などの見通し
 

 と畜頭数は、乾燥した天候が継続していることや、今後の天候見通しがよくないことから、前回予測(2018年10月)から35万頭上方修正したものの、繁殖用雌牛の減少に加え、天候が回復した場合には牛群再構築のために雌牛の保留が増えることから、760万頭(前年比3.5%減)とわずかな減少を見込んでいる。これにより、牛肉生産量は、219万8000トン(同4.2%減)とわずかな減少を見込んでいる。
 牛飼養頭数は、干ばつにより雌牛を中心とした淘汰が継続していることから、前回予測から115万頭下方修正し、2620万頭(同3.9%減)と、2000年以降最も少ない頭数まで減少すると見込んでいる。
 牛肉輸出量は、生産量の減少により106万2000トン(同5.7%減)と減少を見込んでいる。
 最大の輸出先国である日本向けは、生産減や米国との競合により減少する懸念があるが、TPP11協定や日本と豪州間の経済連携協定(EPA)により、米国産と比べて関税面で有利であることから、日本にとっての最大の牛肉供給国としての地位は維持するとしている。
 米国向けは、同国における牛肉生産量の増加により引き続きの増加は見込みにくいものの、米国からの冷蔵牧草肥育牛肉への需要は年々増加しており、その需要は継続するとしている。
 韓国向けは、韓国内における牛肉生産量の減少や豪州産牛肉への堅調な需要により増加傾向で推移しており、その傾向は今後も継続すると見込まれるものの、韓国との自由貿易協定(FTA)により関税面で有利な米国産がシェアを伸ばしていることや、豪州と韓国間のFTAに基づくセーフガード(注)が、同国向けの増加を阻んでいるとしている。
 近年、最も増加している中国向けは、同国における旺盛な牛肉需要は今後も継続し、南米諸国との競合が激化するものの、同国に冷蔵牛肉を輸出できる数少ない国として、外食向けの付加価値の高い牛肉を中心に、引き続き増加すると見込んでいる。

(注) 2014年に締結した豪州と韓国間のFTAにより、韓国は、豪州からの牛肉輸入量が一定量を超えた場合に関税を引き上げるセーフガードを導入しており、2018年のセーフガードの発動数量は16万7327トンであった。このセーフガードは、2015年以降、4年連続で発動している。


QLD州で洪水が発生し、牛が大量死

 豪州気象局によると、2019年1月末から2月初めにかけてQLD州北部で短期的に大量の雨が降ったことで、洪水が発生した(図5)。最も多いところでは、12日間の間に2000ミリメートルを超える雨が降り、農畜産業に甚大な被害をもたらす洪水を引き起こした。被害の全容はまだ明らかになっていないものの、数十万頭の牛が洪水により死んだという報道もあり、QLD州の肉用牛生産への影響が懸念されている。
 
図5 降雨状況

 
 QLD州北部で飼養されている牛は、ブラーマンなどの熱帯種が一般的であり、洪水が発生した地域の一つであるタウンズビルは、生体牛輸出に関して2番目に大きな港であることから、東南アジア向けの牛肉や生体牛輸出に影響が及ぶ可能性がある。
 なお、MLAが、2月13日に幕張メッセで開催した「プロジェクションセミナー2019」における豪州の牛肉生産・輸出見通しによると、QLD州の洪水による日本向け牛肉輸出への影響はあまりないとしている。
 
(調査情報部 大塚 健太郎)
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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