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海外の畜産物の需給動向【牛肉/アルゼンチン】  畜産の情報 2019年4月号

輸出は中国向けおよびロシア向けがけん引

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生産量は前年比7.8%増

 アルゼンチン工業生産・労働省によると、2018年の牛と畜頭数は、前年比6.6%増の1345万2831頭、牛肉生産量は同7.8%増の306万6000トン(枝肉重量ベース)となった(図6)。輸出需要の高まりから飼養頭数の拡大が続いていることに加え、年初に発生した干ばつの影響で、経産牛の淘汰が進んだことも要因の一つとされている。


図6 牛肉生産量の推移
 

輸出意欲の拡大が顕著に

 アルゼンチン国家統計院によると、2018年の牛肉輸出量は、前年比73.7%増の36万2319トン(製品重量ベース)となった(表3)。アルゼンチンでは、2015年12月の政権交代以降、農畜産物の輸出規制が撤廃されるなど、輸出環境が改善している。今般の生産増は、これを受け輸出意欲が高まったことで、生産者が数年かけて生産拡大に取り組んだ結果とも考えられている。国別に見ると、ほぼ全ての国向けで輸出量が増加したが、特に中国向けとロシア向けの増加が顕著となった。
 

表3 牛肉輸出の推移
 

 中国は、旺盛な需要に加え、米国や豪州と比較して価格が安いことから、南米からの輸入を増やしている。ロシアは、それまで最大の輸入相手国だったブラジルからの輸入を、同国からの畜産物に、ロシア側が禁止している成長促進剤が検出されたことを受け、2017年12月から2018年10月末まで停止していたことから、その代替需要として大幅に輸出量が増加した。


期待が広がる日本向け輸出

 2018年6月27日、アルゼンチン国内の口蹄疫ワクチン非接種清浄地域である北パタゴニアAおよびB地域並びに南パタゴニア地域(パタゴニア地域)から日本向けの牛肉輸出が解禁となった。これを受け、すでに買い付けが始まっており、10月には10トンが船便で輸入された。一部レストランでは取り扱いも開始されており、今後の展開に注目が集まっている。

 
(調査情報部 佐藤 宏樹)
このページに掲載されている情報の発信元
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