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海外の畜産物の需給動向【牛乳・乳製品/EU】  畜産の情報 2019年4月号

生乳出荷量は、2010年以降9年連続で増加

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2018年の生乳出荷量は、前年比0.8%増

 欧州委員会によると、2018年12月の生乳出荷量(EU28カ国)は、1260万9300トン(前年同月比0.8%減)となり、2カ月連続して前年同月を下回った(図16)。生乳出荷量は、2018年上半期については増加傾向にあったが、2018年の夏に複数のEU加盟国が干ばつに見舞われたことから、増加傾向に歯止めがかかった。干ばつの影響から、8月以降は前年同月と同水準で推移し、11月、12月は前年同月を下回る出荷量となった。

 
図16 生乳出荷量の推移(EU28カ国)

 
 EUの2018年の生乳出荷量は、前年比0.8%増の1億5720万トンとなった。2018年は、増加率は縮小したものの、生乳出荷量の増加は続いており、2010年以降9年連続での増加となった(図17)。

 
図17 生乳出荷量(EU28カ国)の推移
 

 2018年の出荷量を国別に見ると、2017年にリン酸塩排出削減のために乳牛の淘(とう)汰を行ったオランダ(前年比2.9%減)では減少したものの、アイルランド(同4.4%増)、ベルギー(同4.1%増)、ポーランド(同2.6%増)、デンマーク(同2.5%増)などの主要生産国では増加した。(表18)。
 
表18 生乳出荷量の推移(EU主要生産国)
 

2018年の収益性は、2017年に対して悪化

 欧州委員会が2018年12月に公表した生乳生産における収益性に関する報告「EU milk margin index estimate up to 2018」によると、生乳出荷量が前年比2.5%増となった2017年については、前年と比べ生産コスト指数(2008年:100)(Operating costs index)が下がり(前年比2%減)、乳価指数(同)(Milk price index)が記録的な水準まで上昇(同21%増)したことから、粗利益指数(同)(Milk gross margin index)は2008年以降最も高い水準(同80%増)となった(図18)。

 
図18 乳価指数、生産コスト指数、粗利益指数の推移
 

 生乳出荷量が増加傾向で推移する中、平均生乳取引価格(EU28カ国)は2016年11月以降、前年同月を上回る水準で推移していたが、2018年4月に18カ月ぶりに前年比で下落に転じ、その後、前年同月水準を下回って推移している。2018年(第1〜3四半期)の粗利益指数は、生産コスト指数が前年同期比2%減であったものの、乳価指数が同4%減となったことから、同6%下落している。なお、第3四半期には、干ばつの影響から飼料の購入が増えたことに伴い生産コストが上昇しており、今後、ますます、収益性が悪化することも考えられる。
 
(調査情報部 前田 絵梨)
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