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海外の需給動向【牛乳・乳製品/豪州】  畜産の情報 2019年5月号

干ばつによる乳牛淘汰と猛暑で1月の生乳生産量は二桁減

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1月の生乳生産量は前年同月比11.0%減

 デーリー・オーストラリア(DA)によると、2019年1月の生乳生産量は、70万4800キロリットル(72万5900トン相当、前年同月比11.0%減)と、8カ月連続で前年同月を下回り、月を追うごとに減少幅は拡大し、厳しい生産状況が続いている。2018/19年度(7月〜翌6月)の1月までの7カ月間の累計でも、568万5300キロリットル(585万5900トン相当、前年同期比5.8%減)と前年同期を下回った(図21)。
 

 

 これは、昨年の豪州東部を中心とした干ばつにより、飼料価格の高騰および水確保のためのコストアップなど経営環境が厳しくなり、酪農家が乳牛を淘汰し、規模縮小や廃業に追い込まれたためである。
 これに加え、豪州では夏季に当たる1月に一部の生産地域で猛暑になり、一層の生乳生産量の低下を招いた。


干ばつに加え、猛暑により主産地ビクトリア州は14.4%減

 1月の生乳生産量を地域別に見ると、酪農主産地のビクトリア州は43万3300キロリットル(44万6300トン相当、前年同月比14.4%減)と二桁減となり、全体の落ち込みに大きく影響した(表11)。特に、ビクトリア州の北部地域では、干ばつに加え、厳しい猛暑により、前年同月比27.2%減と大きな落ち込みとなっている。
 

 その他の州では、タスマニア州を除くすべての州で前年同月と比べて減少しており、干ばつによる乳牛淘汰に加え、猛暑による1頭当たりの乳量減のダブルパンチで、生乳生産量は、大きく落ち込んだ。
 
1月の乳製品輸出量、全粉乳が大幅減、バター類および脱脂粉乳が大幅増

 DAが発表した1月の主要乳製品4品目の輸出量を見ると、全粉乳が大幅に減少する一方、バター類および脱脂粉乳が大幅に増加した(表12、図22)。全粉乳の輸出量は、NZと比べ競争力が弱いことや生乳生産減の影響を受け、ほぼ半減となった。脱脂粉乳は、EUの公的在庫の解消の目途が立ち、国際需給の改善が見込まれることから、引き合いが強まった。また、バター類については、前年同月の輸出量が低水準であったことから、大幅増となった。
 
 
 
 この結果、2018/19年度(7〜1月)の7カ月間の累計を見ると、豪州の生産動向および海外需給動向を反映し、全粉乳が大幅に減少する一方、バター類の輸出回復が目立っている。
 
(調査情報部 井田 俊二)