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海外の需給動向【豚肉/米国】 畜産の情報2019年6月号

飼養頭数が増加する中、卸売価格は上昇に転ずる

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3月の豚飼養頭数は前年同月比2.1%増
 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2019年3月28日に公表した「Quarterly Hogs and Pigs」によると、3月1日時点の豚総飼養頭数は、前年同月比2.1%増の7429万6000頭と5年連続で過去最高を更新した(表6)。この内訳をみると、繁殖豚は同2.2%増の634万9000頭、肥育豚は同2.1%増の6794万8000頭となった。飼養頭数増加の背景としては、米国内外からの堅調な豚肉需要が考えられる。USDAのレポートでは、特にパッカーからの引き合いについて言及しており、さらに、近年で3カ所目となる豚肉処理施設が、最大の生産地帯であるアイオワ州で稼働が開始されたことは注目すべきだと紹介している。
 


 また、12〜2月の分娩母豚頭数は前年同期比1.6%増の308万4000頭となり、分娩母豚頭数および1腹当たりの産子数のいずれも増加したことから、産子数は同2.8%増の3299万9000頭となり、生産者の増頭意欲の高まりが表れた結果となった。
 州別に飼養頭数をみると、最大の生産州であるアイオワ州が前年同月比4.0%増の2350万頭となったほか、その他の主要生産州でもおおむね前年同月を上回り、全国的に飼養頭数が増加している(表7)。
 
 

豚肉卸売価格は上昇に転ずる
 USDA/NASSによると、2月の豚と畜頭数は、飼養頭数の増加に加え、豚肉需要が堅調なことなどから、前年同月比4.9%増の1010万4000頭となった。1頭当たりの枝肉重量は、同0.5%増の97.5キログラムとなり、この結果、豚肉生産量は同5.3%増の98万3000トンと2カ月連続で前年同月を上回った。
 また、豚肉卸売価格(カットアウトバリュー(注)、速報値)についてみると、3月は前年同月比4.0%安の100ポンド当たり70米ドル(1キログラム当たり174円:1米ドル=113円)と、昨年から続く供給過剰感もあり前年を下回って推移している。しかしながら、同価格は例年、夏場の需要期を迎える5月ごろから上昇するが、本年においては例年より早い3月時点で上昇に転じている(図9)。
  (注)各部分肉の卸売価格を1頭分の枝肉に再構成した卸売指標価格。
 
 
 この状況についてUSDAは、米国内の旺盛な需要に加え、中国で発生しているアフリカ豚コレラの影響により世界的に豚肉需給が引き締まっており、米国産豚肉への引き合いが強まったためとしている。
 
(調査情報部 藤原 琢也)