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海外の需給動向【豚肉/メキシコ】 畜産の情報2019年6月号

2018年の輸出量、生産増が後押しし堅調に推移

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豚肉生産量は前年比4.1%増
 メキシコ農牧省農牧漁業情報局(SIAP)によると、2018年の豚肉生産量は、前年比4.1%増の150万1222トンとなった(図13)。同国では、飼養頭数の増加や品種改良、インテグレーションシステムの進展などを背景に年々生産量を伸ばしているが、近年特にその増加幅は大きくなっており、2016年以降は前年比4%強の増加幅を維持している。
 

輸出は堅調、中国向けの伸びに期待
 2018年の豚肉輸出量は、前年比5.9%増の13万1950トン(製品重量ベース)となった(表10)。国別に見ると、日本向けは、同国での堅調な需要に加え、EU域内への子豚輸出が増えているデンマーク産の減少、同年4月にアフリカ豚コレラが発生したハンガリー産の輸入停止などにより、輸出余力があるメキシコ産の優位性が高まったことから、前年比3.6%増の9万8102トンとなった。第2位の米国向けについては、USDAが2018年1月16日にメキシコを豚コレラ清浄国と認定したことに伴い対米輸出施設が増加したことから、同44.1%増の1万5430トンと大幅に増加した。
 

 また、中国向け輸出量は年々増加しており、同年には同51.1%増の2132トンとなった。現時点では全体の1.6%程度を占めるに過ぎないものの、今後の同国向け輸出増が期待されている。加えて、2018年6月には、豚肉副産物の加工および輸出に必要な衛生条件に係る協力覚書を締結しており、今後の両国間の貿易関係の動向に注目が集まっている。


輸入ではカナダの割合が高まる
 2018年の豚肉輸入量は、前年比10.2%増の88万5746トン(製品重量ベース)と、かなりの程度増加した(表11)。メキシコにおける豚肉輸入は北米自由貿易により無関税の米国産が約9割を占めていたが、2018年6月4日、米国がメキシコの鉄鋼およびアルミ製品にかかる関税率を引き上げたことに対する報復措置として、豚肉をはじめとする米国産農畜産物に対して追加関税を適用したことから、7月以降はカナダ産が急激に存在感を高める結果となった(図14)。
 

 


2019年も生産・輸出共に好調見込み
 米国農務省海外農業局(USDA/FAS)が2019年2月19日に公表した「Mexico:Livestock and Products Semi-annual」によると、2019年のメキシコの豚肉生産量は、前年比2.9%増と見込まれている。近年続いている増産傾向に加え、2019年に同国最大となる豚のと畜場が完成する予定であり、と畜能力の限界が解決する見込みであることが要因である。また、輸出量を前年比5.1%増と見込んでおり、メキシコの強みである規格対応力を活かし、今後も同国の豚肉輸出市場は成長を続けるとしている。
(調査情報部 佐藤 宏樹)