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海外の需給動向【牛肉/米国】 畜産の情報 2019年7月号

2020年の牛肉生産量、過去最高の見込み

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 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)は5月16日、第1回目となる2020年の食肉需給・価格見通しを公表した。これによると、2020年の牛肉生産量は、過去最高となる2019年をさらに上回り、前年比0.9%増となる1247万8000トンと予測されている(表1)。
 

 この要因としては、と畜頭数は前年を下回るものの、フィードロットに仕向けられる去勢牛と未経産牛が増加し、1頭当たりの枝肉重量が増加するためとしている。
 輸出量については、オセアニア諸国との競争は存在するものの、アジア各国からの旺盛な需要を受け、増産が見込まれる米国の牛肉生産が輸出を後押しすることで、同2.3%増の147万2000トンと予測されている。
 一方、輸入量は、主要輸入先であるオセアニア諸国が、他国への輸出増加により米国への輸出が減少することから、同1.8%減となる134万3000トンと予測されている。


3月の牛肉輸出量はやや減少
 USDA/ERSによると、米国の牛肉輸出量は、世界的な牛肉需要増などを背景に過去最高となった2018年の反動もあり、2019年3月は前年同月比5.7%減の11万1527トンとやや減少し、3カ月続いて前年を下回った(表2)。

 

 輸出相手国別にみると、輸出先首位の日本は、USDAによると、関税面で優位性のあるカナダとの競合により、同8.9%減の3万1260トンとかなりの程度減少した。一方、第2位の韓国向けは同10.7%増の2万4792トン、第3位のメキシコ向けも同10.2%増の1万5640トンと増加した。
 この結果、2019年第1四半期の牛肉輸出量は同4.7%減の31万5658トンとなった。主要国別では、日本向けが減少し、国内の肉用牛生産が好調なカナダ向けも減少した。香港向けは同44.9%減と大幅に減少しているが、現地報道によれば、米中貿易摩擦の影響で減少したとのことである。
 一方、韓国向けは、米国産牛肉が、伝統的な小売・量販店のみならず、コンビニエンスストアやインターネット通販といった市場にも浸透し、かつ、米韓自由貿易協定(KORUS)によって削減される関税面での恩恵(当初の37.3%から2026年に向けて段階的に削減。2019年1月から18.7 %。2026年に0 %)も後押しした結果、増加傾向での推移となっている。メキシコ向けについても、米国産牛肉への需要が好調なことにより増加した。
 なお、米国政府は5月20日、カナダとメキシコに課していた鉄鋼とアルミニウムの追加関税を撤回することを発表し、カナダ政府は同日、米国産牛肉輸入に係る10%の報復関税撤廃を公表した(注1)。これらの事項が米国産牛肉の輸出にどのように影響するか、注目が集まっている。

(注1)メキシコ政府も同日、米国産豚肉輸入に係る20%の報復関税撤廃を公表している。

牛肉卸売価格、4月は堅調も5月はペースダウン
 USDA/ERSによると、2019年4月の牛肉卸売価格(カットアウトバリュー(注2)(チョイス級))は、国内外の旺盛な需要を反映し、前年同月比7.0 % 高の100ポンド当たり230.30米ドル(1キログラム当たり558円:1米ドル= 110円)と、9カ月連続で前年同月を上回り堅調に推移している(図1)。
 同価格は例年、夏場の需要期を迎える5月ごろから上昇し、7月4日の独立記念日前後をピークに低下する傾向にあるが、本年においては、4月から上昇した結果となった。


 

 一方、米国農務省農業マーケティング局(USDA/AMS)が毎週公表している「MarketNews」によると、カットアウトバリューは5月に入るとわずかに低下し、5月の第4週(24日までの1週間)は同220.64米ドル(同535円)となった。例年では相場が上昇する時期の下落について、現地報道では、例年より早く同価格が高値を付けたことの反動に加え、4月〜 5月上旬の天候悪化や気温低下による小売りの低迷、4月のフィードロット飼養頭数が高水準であったことなどから生体牛の先物価格が急落し、肥育業者の出荷が早まったことなどを要因として挙げている。

(注2)各部分肉の卸売価格を1頭分の枝肉に再構成した卸売指標価格。

(調査情報部 藤原 琢也)