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海外の需給動向【牛肉/豪州】 畜産の情報 2019年8月号

2019/20年度牛と畜頭数、2000/01年度以降最少の見込み

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牛肉生産量、13カ月ぶりに前年同月比で減少
 豪州統計局(ABS)によると、2019年4月の成牛と畜頭数は、イースター休暇に伴い食肉処理場の稼働日数が減少したものの、主要肉用牛生産地域であるクイーンズランド(QLD)州、ニューサウスウェールズ(NSW)州など東部を中心に干ばつが継続しており、雌牛の淘汰が増加していることから、62万300頭(前年同月比0.4%増)とわずかに増加した(図3)。と畜頭数の内訳を見ると、 雄牛は26万400頭(同11.1%減)と前年同月をかなり下回った一方、雌牛は35万9900頭(同10.9%増)とかなり増加しており、17カ月連続で前年同月を上回った。これにより、と畜頭数全体に占める雌牛の割合は58.0%と、前月に続き過去最高水準で推移 している。
 同月の牛肉生産量は、1頭当たり枝肉重量が、雄牛に比べて重量の軽い雌牛の増加に伴い280.0キログラム(同3.9%減)とやや減少したことから、17万3704トン(同3.4%減)と、13カ月ぶりに前年同月を下回った。
 

牛肉輸出量、17カ月ぶりに前年同月比で減少
 豪州農業・水資源省(DAWR)によると、2019年5月の牛肉輸出量は、10万5489トン(前年同月比3.8%減)と、17カ月ぶりに前年同月を下回ったものの、2019年1〜5月の累計では、46万9055トン(前年同期比7.7%増)と、牛肉生産量の増加によりかなり増加した(表2)。



 2019年1〜5月の累計を主要輸出先別に見ると、最大の輸出先である日本向けは、日本以外の国における需要の増加や前年同期の日本向け輸出が大きかったことから、11万4685トン(同8.7%減)とかなり減少した。
 米国向けは、米国における牛肉生産量の増加に伴い2016年以降減少傾向にあったが、豪州の牛肉生産量の増加に加え、赤身率の高い加工向け牛肉を中心に引き合いが強まったことから、10万2878トン(同12.2%増)とかなり増加した。
 中国向けは、同国における牛肉需要増を背景に、9万5428トン(同60.6%増)と大幅に増加しており、前年同期には第3位の輸出先国であった韓国を上回って第3位の輸出先国となった。
 
 
2019/20年度牛と畜頭数、かなり減少見込み
 豪州農業資源経済科学局(ABARES)は2019年6月17日、「Agricultural Commodities」の中で、2019/20年度(7月〜翌6月)の牛肉需給見通しを公表した(表3)。



 これによると、牛と畜頭数は、牛飼養頭数の減少および天候が回復した場合に牛群再構築のための雌牛保留が増加することから、730万頭(前年度比15.6%減)とかなり減少し、2000/01年度以降では最も少ないと畜頭数になると見込んでいる。
 牛肉生産量は、と畜に占める重量の軽い雌牛の減少により、1頭当たり枝肉重量は増加するものの、牛と畜頭数の大幅な減少により205万2000トン(同12.4%減)とかなり減少すると見込んでいる。
 牛飼養頭数は、牛と畜頭数は前年度比で減少するものの増加には転じず、2490万頭(前年比0.4%減)と、2000年以降、最少になると見込んでいる。
 牛肉輸出量は、牛肉生産量の減少により、 99万5000トン(前年度比17.1%減)と大幅な減少を見込んでいる。国別では、日本、米国および韓国向けは、いずれも大幅な減少を見込んでいる。中国向けはかなり減少すると見込んでいるものの、同国における牛肉需要増により、そのほかの国と比べて減少幅は小さいと見込んでいる。
 
(調査情報部 菅原 由貴)