畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > 飼養頭数は依然として記録的水準

海外の需給動向【豚肉/米国】 畜産の情報 2019年8月号

飼養頭数は依然として記録的水準

印刷ページ
1腹当たり産子数も最多記録更新
 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2019年6月27日に公表した「Quarterly Hogs and Pigs」によると、6月1日時点の豚総飼養頭数は、前年比3.6%増の7552万頭となった(表4)。これは、現在の手法による統計が開始された1964年以 降、同時点としては最多である。



 区分別に見ると、肥育豚は同3.9%増の6911万1000頭、繁殖豚は、同1.4%増の641万頭といずれも増加した。さらに、3〜5月の産子数は、同3.7%増の3417万7000頭となり、現地業界関係者の事前予想を大幅に上回った。加えて3〜5月の1腹当た り産子数は同3.4%増の11.0頭となり、こちらも同時点の最多記録を更新した。
 一方、3〜5月の分娩母豚頭数は前年並みの310万8000頭であった。今後、生産者の増産意欲は落ち着くとみられ、6〜8月の分娩母豚頭数は前年をわずかに下回る318万5000頭(前年比0.5%減)と見込まれている。


 4〜5月は増産にも関わらず高値で推移
 USDA/NASSが2019年6月20日に公表 した「Livestock Slaughter」によると、2019年5月の豚と畜頭数は前年同月比1.3%増の1035万5400頭となり、2018年10月以降8カ月連続で前年を上回った。また、豚肉生産量もほぼ同様に推移しており、 2019年5月は同2.0%増の100万6500トンとなった。こうした中、国内需要に支えられた豚肉卸売価格は高値で推移しており、米国 農務省経済調査局(USDA/ERS)が6月26日に更新した「Livestock Prices」によれば、2019年4〜5月のカットアウトバリュー(注)は、同100ポンド当たり約85米ドル(1キログラム当たり204円:1米ドル=109円)となり、2カ月連続で前年同月を大幅に上回って推移した。
 (注) 各部分肉の卸売価格を1等分の枝肉に再構成した卸売り指標価格。

 同期間においては肥育豚価格も堅調に推移 し、2019年4月は前年同月比44.7%高の100ポンド当たり57.69米ドル(1キログラム当たり139円)、5月も同27.2 %高の59.61米ドル(同143円)と、2カ月連続で前年を大幅に上回った(図4)。USDAによると、堅調な国内需要を背景に、パッカーが提示する取引価格は高値傾向で推移したとされる。ただし、USDAはこのような4月以降の肥育豚価格の高騰について、アフリカ豚コ レラが発生している中国の状況と、それに由来する中国向け豚肉輸出に関する憶測が作用 したとの可能性についても言及している。
 

 しかし、6月に入って価格は一服し、同月(速報値)のカットアウトバリューは同2.2%安の81.50米ドル(同196円)、肥育豚価格は前年並みの57.0米ドル(同137円) となった。

2019年の豚肉輸出量は前年比1割増
 USDA/ERSが6月17日に公表した「Livestock, Dairy and Poultry Outlook」によると、2019年第2四半期以降の豚肉輸 出量は前年同期を上回って推移すると見込ま れている(図5)。5月20日にメキシコが米国産豚肉に課していた追加関税を撤廃したこ とを受けてUSDAは2019年の豚肉輸出見通しを上方修正し、通年豚肉輸出量を前年比10.2%増の293万3000トンと予測している。
 

(調査情報部 野田 圭介)