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海外の需給動向【牛乳・乳製品/EU】 畜産の情報 2019年8月号

バターの生産量が増加

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4月の生乳出荷量は前年同月比増
 欧州委員会によると、2019年4月の生乳出荷量(EU28カ国)は、出荷量上位の複数国での減産をアイルランドや英国、ポーラン ドの増産でカバーし、前年同月比1.4%増の1402万4790トンとなった(図12)。なお、1〜4月の出荷量の合計は、前年同期比0.6%増の5298万4680トンとなった。
 

 4月の出荷量を加盟国別に見ると、アイル ランド(前年同月比15.3%増)、英国(同 4.4%増)、ベルギー(同3.5%増)、ポーランド(同2.8%増)などでは増加した一方、オランダ(同1.7%減)、フランス(同1.0%減)、イタリア(同0.6%減)、ドイツ(同0.5%減)では減少した(表8)。
 

 EU全体で見ると、生乳出荷量は、2018年の夏の干ばつの影響で増加傾向に歯止めがかかり、2018年9月以降は前年同月比.1〜0.8%減で推移していたが、2019年2月からは前年同月比増で推移している。

バターのEU域内需要が堅調に推移
本段落の文章、表を修正しました(2019.9.18)】 
 欧州委員会によると、2019年1〜4月の乳製品の生産量は、全粉乳が前年同期比11.5%減となったものの、バターは同2.4%増、チーズは同0.5%増、脱脂粉乳は同0.3%増となった(図13)。
 

 主要な乳製品のうち、最も増加率が大きいのはバターである。乳脂肪が健康面で評価されていることから、先進国を中心に植物油脂からバターや乳脂肪への需要のシフトが起こっており、バターは近年、EU域内の需要が堅調に推移している。EUのバター消費量について5年間の変化を見ると、2013年は203万トンであったのに対し、2018年は225万トンとなり1割以上増加している。また、世界的にもバターの需要が高まっている。
 なお、欧州委員会は、7月に公表した農畜産物の短期的需給見通しの中で、バターの生産量を2019年は前年比1.6%増と見込んでいる。
 バターの輸出について見ると、4月の輸出量は前年同月比25.0%増の1万4858トンとなり、5カ月ぶりに前年同月を上回った。 2019年1〜4月の輸出量は前年同期比6.9%減の4万7458トンとなった。同期間のバターの最大の輸出先は米国(1万485ト ン、前年同期比33.7%増)、第2位は日本(3234トン、同17.7%増)、第3位は中国(2940トン、同18.4%増)であった(表9)。
 

 なお、欧州委員会は、7月に公表した農畜産物の短期的需給見通しの中で、バターの輸出量を2019年は前年比5.0%増と見込んでいる。


脱脂粉乳の公的在庫は全て解消へ
 欧州委員会は6月21日、2019年6月に行われた第37回の脱脂粉乳の公的在庫の売渡入札により、残っていた162トンが売り渡され、脱脂粉乳の公的在庫が全て解消されたと発表した。
 欧州委員会は、2015〜2016年にかけて生乳と乳製品の需給が緩和状態に陥る中、需給の改善策の一つとして、2015年7月から脱脂粉乳の公的買い入れ(注)を行い、2017年9月まで実施した。2016年末から公的在 庫の売り渡しが始まったものの、放出には時間を要し、2017年末には約38万トンまで積み上がっていた。積み上がった公的在庫は、2017年後半〜2018年にかけての脱脂粉乳価格低迷の要因の一つとされていたが、2年半をかけて全て売り渡された。

(注)EUは、各年3月1日〜9月30日の間、脱脂粉乳の市場価格が介入価格(100 キログラム当たり169.80ユーロ(2万1055円:1ユーロ=124円))を下回った場合、加盟国の介入機関を通じて一定規格のものを買い入れる。なお、当該年の介入買入数量が買入限度数量の10万9000 トンに達した場合、入札により追加の買い入れが実施できることとなっている。なお、2018年は、欧州委員会は大量の在庫を抱える中、売渡入札を実施していたことから、買い入れは行っていない。
(調査情報部 前田 絵梨)