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海外の需給動向【牛乳・乳製品/中国】 畜産の情報 2019年8月号

生乳価格が上昇し多くの乳製品の輸入が引き続き増加

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生乳価格は前年を上回って推移
 生乳価格(主要10省・自治区)は、2018年10月以降は前年を上回って推移しており、2019年6月は前年同月比4.7%高の1キログラムあたり3.55元(56.8円、1元=16.0円)となっている(図18)。現地専門家によると、飼料価格上昇による収益の減少や環境規制に よる農場閉鎖によって依然として供給が減っていることが原因といわれている。このよう な中、現地報道によると、乳業メーカーから酪農家への注文数量が前年と比べて増加しているため、生乳価格は今後も前年を上回る水準で推移すると考えられている。
 


多くの乳製品の輸入が引き続き増加
 生乳供給が減少するものの、需要は堅調であるため、2019年1〜5月の乳製品輸入量は、多くの品目で引き続き増加している(表12)。
 

 品目別にみると、乳製品の原材料となる全粉乳は、前年同期比28.8%増の37万トンであった。輸入量の9割強をニュージーランド(以下、「NZ」)が占めている。また、脱脂粉乳は同28.7%増の15万5000トンで、5割強がNZ、1割強が豪州からの輸入である。
 なお、NZ産の全粉乳、脱脂粉乳、無糖れん乳は、中国NZ自由貿易協定に基づき1月2日に特別セーフガードが発動されたが、その後も輸入は堅調である(図19)。中国NZ自由貿易協定の詳細は『畜産の情報2016年9月号』(https://www.alic.go.jp/content/000128130.pdf)P94〜P95を、本年の特別セーフガードの発動については『畜産の情報2019年3月号』(https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_000519.html)P41を参照されたい。
 

 育児用調整粉乳は、前年同期比18.6%増の14万トンであった。「一人っ子政策」の廃止に伴う需要増加により生産量が増加しているが、「メラミン混入事件」(注)以降国産製品への不信が払拭されず、輸入製品の人気が高い(図20)。
(注)2008年9月、中国で国内乳業メーカー製の育粉を摂取した乳幼児に泌尿器系疾患が多発し、原料乳にメラミン(大量に摂取すると毒性のある有機化合物)が混入されていたことが発覚した事件。死者は6人、影響は約30万人に及んだとされる。
 

 ヨーグルトは、2018年は減少に転じたものの、2019年に入り再び増加し、前年同期比22.9%増の1万4000トンであった。これは、過去最高の輸入量であった2017年を上回るペースで推移しており、今後も増加すると考えられる。
 チーズは4万8000トンと前年同期と比べてわずかに増加したが2017年以降はほぼ横ばいで推移、バターは、通年で前年比32.3%増と大幅に増加した2018年同期と比べて3万トンと大幅に減少した。中国では、チーズ・バターはほとんど生産されていない。また、家庭での消費は少なく、主にピザ、ハンバーガーやクロワッサン、菓子パンなど外食で消費されている。そのような消費が飽和に近づき、輸入量が頭打ちになってきた可能性がある。
 
(調査情報部 寺西 梨衣)