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海外の需給動向【豚肉/中国】 畜産の情報 2019年9月号

豚肉生産量が減少し、輸入量が大幅に増加

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アフリカ豚コレラの影響で豚飼養頭数が大幅に減少
 中国ではアフリカ豚コレラ(以下「ASF」という)の防疫対策として、発生した県、市、省などからの子豚や生体豚、豚肉などの搬出を制限してきた。これにより、多くの省で子豚や繁殖雌豚の供給が不足したことから、豚飼養頭数は、2019年1月以降連続して前年同月に比べて10%以上減少しており、6月は、前年同月比25.8%減、うち繁殖雌豚は同 26.7%減となった(図7)。
 

 ASF発生件数は減少してきているものの、いまだに四川省など主要生産地でASF発生が続いていることから、今後も飼養頭数は減少傾向で推移すると考えられる。

豚肉生産量もやや減少
 中国国家統計局によると、2019年上半期の食肉(豚肉・牛肉・羊肉・家きん肉)生産量は、前年同期比2.1%減の3911万トンであった。そのうち、牛肉は同2.4%増、羊肉は同1.5%増、家きん肉は同5.6%増と豚肉以外はいずれも増加したが、豚肉生産量は同5.5%減の2614万トンであった(図8)。
 

 現地報道等によると、豚肉生産がASF発生前の水準まで回復するためには、数カ月から数年を要するといわれており、秋以降の需要期(注1)までに回復する見込みは低いと考えられる。
(注1)  9月の中秋節、10月の国慶節、2020年1〜2月の春節などの大型連休。

子豚価格および豚肉小売価格が上昇
 現地報道によると、ASF発生件数が減少していること、前述の需要期に備えて増産の機運が高まっていることから、子豚の導入意欲が増しており、子豚価格は上昇を続けている。7月の子豚価格は前月比5.0%高の1キログラム当たり41.8元(671円:1元16.06円)であった(図9)。
 

 7月の豚肉小売価格は、同5.9%高の1キログラムあたり27.1元(435円)である(図9)。中国農業農村部によると、冷凍豚肉の在庫が比較的多い中、消費は勢いを欠いており、在庫の消化には一定の期間を要するとしている。従って、現時点では価格の上昇はある程 度抑えられているが、需要増が見込まれる秋以降はさらに上昇することが考えられる。

豚肉輸入量はかなり増加
 2019年1〜5月の豚肉の輸入量は、前年同期比19.8%増の66万トンとなった。2018年4月と6月にそれぞれ25%の追加関税が課された米国以外からの輸入が増加して いる。(表6)。
 

 中国は、2019年3月から、ポルトガルからの豚肉輸入を開始した。また、そう遠くな いうちにブラジルの豚肉処理施設の輸出承認を行うとの報道もある。このように輸入元を拡大する動きが見られる一方、6月末にはカナダからの輸出が一時的に停止されている。各国からの輸入動向を引き続き注視していく必要がある。
 
(調査情報部 寺西 梨衣)