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海外の需給動向【牛乳・乳製品/豪州】 畜産の情報 2019年9月号

依然干ばつの影響大きく、5月の生乳生産量は5カ月続けて2桁減

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5月の生乳生産量は前年同月比13.6%減、年度累計でも減少率拡大
 デーリー・オーストラリア(DA)によると、2019年5月の生乳生産量は、58万9700キロリットル(60万7300トン相当、前年同月比13.6%減)と、12カ月連続で前年同月を下回り、5カ月続けて2桁減となった(図 15)。
 

 2018/19年度(7月〜翌6月)の5月までの累計は、797万7400キロリットル(821万6700トン相当、前年同期比7.7%減)と前月よりさらに0.5ポイント減少率が拡大した。
 2018年1月から干ばつ被害を受けている東部を中心とした地域では、6月に若干の降雨があったため、新年度(2019/20年度)の回復を期待しているものの、現時点では当該干ばつの影響で酪農家の廃業や乳牛の淘汰が進んだ影響により、生乳生産量は減少傾向で推移している。
 また、依然として、飼料価格やかんがい地域における水取引価格の高騰も続いているため、生乳生産量の回復には時間がかかる見込みである。
  なお、豪州農業資源経済科学局(ABARES)が、6月に公表した見通しによれば、2018/19年度の生乳生産量は、857万キロリットル(882万700トン相当)で、先述の干ばつの影響により前年度比8%程度減少し、これは1994/95年度以来、最低水準となる。2019/20年度については、天候が例年通りであれば、前年度をわずかに上回ると予測している。

ビクトリア州北部地域では、6カ月続けて2割以上減
 DAが発表した2019年5月の生乳生産量を地域別に見ると、最大生産地のビクトリア州は35万5000キロリットル(36万5600トン相当、前年同月比15.1%減)と5カ月続けて2桁減、2カ月続けて15%以上の減少となり、また、西オーストラリア州を除くすべての州で前年同月比2桁以上の減少で推移しており、豪州全体の減少率拡大につながっている(表8)。
 

 特に、ビクトリア州の主産地の一つである北部地域では減少が顕著で、5月の生乳生産量は11万100キロリットル(11万3400トン相当、同29.7%減)と6カ月続けて前年同月比2割以上の落ち込みとなっている。

5月の乳製品輸出量、全粉乳は引き続き大幅減
 DAが発表した5月の主要乳製品4品目の輸出量を見ると、全粉乳、チーズおよび脱脂粉乳が減少する一方、バター類が大幅に増加した(表9、図16)。
 

 
 

 全粉乳の輸出量は、生乳生産減少などの影響により、2018年8月以降、おおむね前年同月比3割以上の大幅な減少が続いていたが、国際需給の改善がみられたことなどから、5月の下げ幅は同15.1%にとどまった。一方、脱脂粉乳は、同38.7%減と大幅に下回った。輸出量が減少する状況においても、中国向けは、同1.8倍に増加し、5月の輸出量の半分を占め、需要の高さがうかがえた。
 バター類については、前年同月比25.4%増と、直近4カ月の増加率(平均:77.1%)と比較して、大幅に抑えられてはいるものの、前年同月を上回った。
 この結果、2018/19年度(7〜翌6月)の5月までの輸出量の累計は、生乳生産や海外からの需要の動向を反映し、全粉乳が前年同期比38.6%減少する一方、バター類は同37.0%増加している。
(調査情報部 菅原 由貴)