畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > チーズ輸出量、高水準を維持

海外の需給動向【牛乳・乳製品/米国】 畜産の情報 2019年11月号

チーズ輸出量、高水準を維持

印刷ページ
7月のチーズ輸出量、0.3%増
 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、7月のチーズ輸出量は前年同月比0.3%増の2万7700トンとなった。米国の乳製品輸出は、中国やメキシコの報復関税の影響もあり、ホエイを中心に軒並み減少基調で推移しているが、チーズについては、3月に過去最高の輸出量を記録するなど、高水準を維持している(図7)。
 

 米国乳製品輸出協会(USDEC)は、上半期のチーズ輸出量は前年同期比4%増と2014年以降で最も高水準となり、特に、韓国向けが同26%増、東南アジア向けが同16%増、中央アメリカ向けが同28%増と、これらの国・地域向けで記録的な水準に達したとしている。
 また、USDECによると、上半期の乳製品輸出(全粉乳、脱脂粉乳、チーズ、バター、ホエイ、乳糖)は、記録的水準であった昨年度と比較し14%減となったとしている。特に中国向けについては、米中貿易摩擦による報復関税、中国でのアフリカ豚コレラの発生に加え、ヨーロッパやニュージーランドとの競合もあり減少したとコメントしている。
 なお、中国向けの米国産乳製品のうち9割以上がホエイと乳糖が占めるとされているが、USDAの発表でも、1〜7月の中国向けホエイ輸出量は前年同期比54%減と大幅に減少しており、この要因として、報復関税とアフリカ豚コレラの影響が挙げられている。

生乳生産量の増加は一服
 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2019年8月19日に公表した「Milk Production」によると、7月の乳用経産牛飼養頭数は前年同月比0.9%減の931万頭と、2018年7月以降13カ月連続して前年を下回った。1頭当たり乳量は、2014年以降増加傾向で推移し、7月も同0.9%増の893キログラムとなったものの、徐々に伸び率は鈍化している。
 生乳生産量については、1頭当たり乳量の増加が搾乳牛頭数の減少分を補いながら増加傾向で推移していたが、3月は同0.6%減の855万9000トンと2016年1月以来3年ぶりに前年同月を下回って以降、4月を除いて前年を下回り、7月も前年並みとなる831万4000トンとなるなど、生乳生産量の増加傾向は一服した結果となった(図8)。
 

 なお、USDAは2019年通期の見通しについて、搾乳牛頭数の減少は継続するものの、下半期は乳価の上昇により収益性が向上し、酪農家の増産意欲が刺激されることから1頭当たり乳量が持ち直すため、前年比0.2%増の9888万3000トンと見込んでいる。 
(調査情報部 藤原 琢也)