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国内の需給動向【鶏卵】 畜産の情報 2019年12月号

元年10月の鶏卵相場、5カ月ぶりに前年同月を上回る

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 令和元年10月の鶏卵卸売価格(東京、M玉)は、1キログラム当たり204円と前月から25円上昇し、5カ月ぶりに前年同月を上回った(図25)。
 
 
 鶏卵価格は、例年、夏場に底を迎え、最需要期の冬場に向けて上昇する傾向がある。今秋においては、9月以降の学校給食の再開や大手ファストフードやコンビニチェーンによる鶏卵を使用した商品展開が後押しとなり需要が回復したところに、千葉県などの主要産地における台風被害の影響により供給量が減少したことから、相場が急上昇した。その後、10月に入り安定的に推移していたものの、関東などの主要生産地へ相次いで暴風雨および豪雨による被害がもたらされたことにより、中旬以降、再び相場が上昇した。
 今後について、供給面では、被災した主要産地の復旧までに時間を要することが懸念されていることや、元年度上半期の採卵用雌ひなのえ付け羽数が5113万1000羽(前年同期比4.5%減)と前年同期を下回っていることから、当面の供給量は減少が見込まれる。一方、需要面では、クリスマスの洋菓子や年始のおせちなどの季節需要がさらに高まると見込まれることから、相場は引き続き上昇傾向で推移するとみられる。

元年9月鶏卵の家計消費、残暑による回復の遅れ
 鶏卵消費の約5割を占める家計消費を見ると、9月の購入数量および支出金額はそれぞれ、1人当たり866グラム(M玉換算で約14個相当。前年同月比1.8%減)および同257円(同4.3%減)といずれも前年同月を下回った。これは、夏場の需要の落ち込みは例年と比べると小さかったものの、9月の平均気温が例年に比べて全国的に高かったことなどから需要の回復が遅れたものとみられる(図26)。なお、過去5カ年の9月の平均購入量および平均支出金額と比べると、購入量はやや上回り、支出金額は同水準(購入量2.7%増、支出金額0.3%増)となり、おおむね好調に推移している。
 
 
元年の成鶏更新・空舎延長事業の処理羽数950万羽を超える
 日本養鶏協会が、平成30年度第2回(2月1日から3月31日まで)および令和元年度(5月20日から9月2日まで)に発動した成鶏更新・空舎延長事業の9月30日時点の実施状況を公表した。同事業参加者への交付件数は443件、成鶏の出荷羽数は963万3279羽、処理羽数は955万9146羽となり、規模別に見ると、出荷羽数、処理羽数ともに10万羽以上規模が全体の8割以上を占めている(表2)。
 
 
(畜産振興部 郡司 紗千代)