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国内の需給動向【令和元年度(4〜10月)の食肉卸売価格の推移】 畜産の情報 2020年1月号

天候不順で需要が低迷する中、低価格志向が顕著に

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 令和元年度(4〜10月)の食肉の需要については、5月の新天皇即位に伴う大型連休や、9月に2回ある3連休など末端消費への期待感が高まる機会が多く、また、10月以降の消費増税に伴う食肉消費への影響が注視されている。
 今期の消費動向としては、天候が食肉消費に与える影響も大きく、長梅雨に続く猛暑による消費意欲の減退から、食肉の家計消費は伸び悩んだ。また、外食需要は引き続き好調となったものの、休日に雨の日が多かったことや梅雨明けが遅れたことにより、外出の機会が減少したことから、バーベキュー用の焼材などの行楽需要も振るわず、食肉消費の拡大は、供給側が期待した以上の盛り上がりとならなかったという声も聞かれた。
 以下、今年(4月〜10月)の食肉卸売価格の推移について振り返る。

大型連休に向け、交雑種、豚肉の相場が上昇
 4月は、新天皇即位に伴う大型連休を控えて需要の高まりが期待されたことから、在庫確保に向けた手当てが活発化した。
 畜種別の卸売価格を見ると、牛肉は、お祝い用のごちそう食材としての需要が期待され、和牛の出荷頭数が増加したものの、量販店からは価格重視の引き合いが強く、和牛よりも出荷頭数の減少が続いている交雑種の相場を押し上げた。
 豚肉は、出荷頭数がわずかに増加したものの、牛肉同様に大型連休前の在庫確保に向けた引き合いが強まり、相場が上昇した。
 鶏肉は、むね肉の加工向け需要は安定していたものの、好調な生産が続いたこともあり、もも肉、むね肉ともに相場は弱含みとなった(図15)。


 
連休後に節約志向が強まる中、交雑種は堅調に推移
 5月は、連休中の食肉消費は期待したほど振るわなかったことに加え、連休中のレジャー支出の反動から消費者の節約志向の強まりがみられた。
 畜種別の卸売価格を見ると、牛肉は、例年、梅雨入りにかけて消費が落ち込む時期となるが、和牛は輸出向けやインバウンド需要が下支えとなり、相場は前月から横ばいで推移した。また、乳用種は、出荷頭数の減少から取扱いの一部を輸入品がカバーする動きがあるものの、堅調な需要により相場は横ばいとなり、出荷頭数が減少傾向にある交雑種は堅調な相場を維持した。
 豚肉は、前年の猛暑の影響などにより出荷頭数が少なかったことから、相場は強含みで推移した。
 鶏肉は、生産量が前年の水準を上回って推移する中、もも肉の相場が下降基調となった一方、むね肉はサラダチキンなどの加工用に一定程度の引き合いがあり、相場はもちあいで推移した。

梅雨明けの遅れで7月の行楽需要は盛り上がらず
 6月から7月は、例年にない長梅雨となり、特に7月は全国的に晴天の日が少なかったことから行楽需要は振るわず、食肉全体の相場が引き締まらなかった。
 畜種別の卸売価格を見ると、牛肉は、和牛および乳用種が弱含みで推移した一方、交雑種の相場は引き続き堅調に推移した。
 豚肉は、長梅雨の影響で気温が低い日が続いたことで、供給面では肉豚の生育が良好となり、出荷頭数が増加した。さらに需要面では夏休みに入り学校給食向けの引き合いが低下したことなどから、相場は低下した。
 鶏肉は、もも肉の相場が下降基調となった一方、むね肉の相場は加工向けに一定の需要があり、もちあいで推移した。

夏の猛暑で消費停滞も気温低下とともに鶏肉は強含みへ 
 8月は旧盆に、9月は2回の3連休に向けた行楽需要が期待されたが、全国的に例年より平均気温が高かったことなどから、食肉の消費は伸び悩んだ。
 畜種別の卸売価格を見ると、牛肉は、和牛の旧盆や9月の3連休に向けた引き合いは限定的となったことなどから、相場は前年同月を下回って推移した。一方、交雑種の相場は引き続き堅調に推移した。
 豚肉は、酷暑により夏のバーベキュー用の焼材などの需要が振るわなかったものの、連日続く暑さの影響で出荷頭数が少なかったことから、相場は7月から横ばいで推移した。9月中旬には、3連休に向けた引き合いの強まりによる相場の回復もみられた。
 鶏肉は、9月中旬以降から猛暑が和らぎ、需要が回復したことから、もも肉およびむね肉の相場は強含みで推移した。

秋口の台風や増税で節約志向が強まる中、鶏肉がわずかに上昇
 10月は、休日に晴れの日が多かったものの、台風災害による需要の低迷や増税後の節約志向の高まりから、家計消費における1人当たりの購入数量は、牛肉と豚肉は前年同月を下回った一方、鶏肉は前年同月を上回った。また、相次いだ台風の影響により、一部の地域で被害があったものの、全国的には各畜種とも比較的安定した出荷状況となり、国産品在庫も潤沢であったことから、供給減による影響は限定的となった。
 畜種別の卸売価格を見ると、牛肉は、出荷頭数の減少が続く交雑種の相場は前年同月を上回って推移した。
 豚肉は、例年どおり、気温の低下とともに出荷頭数が回復し、相場は下降基調で推移したものの、前年同月を上回った。一方、鍋物需要による消費の回復が期待されたが、例年よりも暖かかったことなどから、需要は前年同月を下回る結果となった。
 鶏肉は、秋の行楽需要や加工向けの堅調な需要などにより、むね肉、もも肉ともに相場はわずかに上昇した。

量販店の食肉販売見通し、取り扱いもより低価格なものへ
 当機構が元年10月31日に公表した「食肉販売動向調査」によると、元年下半期(10月〜3月)の販売見通しは、和牛、輸入牛肉、輸入豚肉、および国産鶏肉で「増加」が「減少」を上回り、乳用種、輸入鶏肉は「減少」が「増加」を上回った。
 輸入牛肉の増加理由として「消費者の低価格志向」が、国産鶏肉の増加理由として「他畜種からのシフト」や「特売回数の増加」が、乳用種の減少理由として「出荷頭数の減少や仕入れ価格の高騰」が挙げられた(図16)。


 
 量販店では、食肉の取り扱いをより安価な食肉へとシフトする傾向があることや、特売向けの商品としての食肉の引き合いが高まる傾向にあることがうかがえる。
(畜産振興部 郡司 紗千代)