畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > 豚肉生産量は、前年同期比0.9%減

海外の需給動向【豚肉/EU】  畜産の情報 2020年1月号

豚肉生産量は、前年同期比0.9%減

印刷ページ
8月の豚肉生産量は前年同月比1.5%減
 欧州委員会によると、2019年8月の豚肉生産量(EU28カ国)は、前年同月比1.5%減の187万2330トンとなった(図8)。と畜頭数は、2066万頭(前年同月比2.6%減)であったが、1頭当たり枝肉重量は、90.6キログラム(同1.1%増)となり、と畜頭数の減少による生産量の減少を、わずかながらカバーしている。なお、同年1〜8月の豚肉生産量の合計は、1568万2640トン(前年同期比0.9%減)となった(表4)。
 
 
 
 
 2019年5〜6月の家畜飼養頭数調査(EU14カ国による調査)では、豚総飼養頭数は前年比1.8%減となっており、豚肉生産量の減少は、飼養頭数の減少によると畜頭数の減少も一因であると考えられるが、欧州委員会は10月に公表した農畜産物の短期的需給見通しで、生産性の向上による枝肉重量の増加により、今後、豚肉生産量は増加するとみており、2019年は前年比0.4%増、2020年は同1.5%増と見込んでいる。

10月のデンマークの豚飼養頭数は、前年を3.1%下回る
 EUの主要豚肉輸出国であるデンマークの統計局は、四半期に一度、豚の飼養頭数を公表している。
 同局によると、デンマークの10月1日時点での豚飼養頭数は、前年同日比3.1%減の1258万5000頭となった。7月1日時点の飼養頭数は、前年同日比2.5%減であったことから、飼養頭数は減少傾向にある(表5)。
 


 繁殖豚全体では前年比2.6%減の123万2000頭となった。肥育豚は同1.6%減の290万3000頭、離乳子豚は同3.7%減の586万頭、初生子豚は同3.5%減の259万頭となった。
 なお、デンマークの2019年1〜8月の豚肉生産量は、飼養頭数減少の影響を受け、前年同期比6.2%減となったが、関係者は、子豚の飼養頭数の減少が、今後もデンマークの豚肉生産量の減少につながるかどうかは、ドイツなどへの生体豚(主に子豚)輸出の動向によるとみている。また、各種規制やEU域内需要の減退、ASF(アフリカ豚コレラ)のまん延に対する長期的な懸念により、養豚生産者は依然として生産拡大に慎重であるとしている。

輸出が増加する中、価格の上昇が続く
 豚肉生産量が減少する中、輸出量は、2019年1月以降9カ月連続で前年を上回って推移しており、2019年9月は前年同月比36.9%増と大幅に増加した(図9)。9月の輸出量が特に増加したのは、中国向けで、前年の2.7倍となる13万8447トンとなった。2019年1〜9月の豚肉輸出量は、前年同期比19.7%増の186万6573トン、同期間の中国向け輸出量は、同72.0%増の83万8158トンとなり、輸出量の45%を占めた。
 
 
 上記の原因から、2019年10月の豚枝肉卸売価格(EU28カ国)は、前年同月比32.3%高の100キログラム当たり182.74ユーロ(2万2294円:1ユーロ=122円)となり、7カ月連続で前年の水準を上回って推移している。同価格は、9月に2013年以来となる同180ユーロを超え、高い水準で推移している。
(調査情報部 前田 絵梨)