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国内の需給動向【鶏卵】 畜産の情報 2020年2月号

元年12月の鶏卵相場、3カ月連続で前年を上回る

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 令和元年12月の鶏卵卸売価格(東京、M玉)は、1キログラム当たり227円と前月から8円上昇し、3カ月連続で前年同月を上回った(図16)。この結果、元年の平均卸売価格は同173円となり、前年を7円下回った。

 
 1年を通した推移を見ると、全体として増産が続いていることから需給が緩和したことにより価格が低迷した。1月に大きく下落した価格は、例年並みの水準まで回復せず、成鶏更新・空舎延長事業(注)が2回(平成31年2月1日から3月31日までおよび令和元年5月20日から9月2日まで)発動するなど需給改善に向けた取り組みが行われた。9月中旬以降は、上述の生産調整に加え、各地で相次いだ台風被害により供給が引き締まり、10月以降、価格は大きく上昇し前年を上回って推移した。
 今後について、供給面では、引き続き生産拡大を受けて生産量は堅調に推移するとみられる。また、需要面では、学校給食再開による需要の回復やおでんや恵方巻きなどの季節需要の高まりが見込まれる。このことから、年末年始に産地に溜まった在庫が1月の市場の再開とともに一度に出荷されることにより、一時的に価格は低下するものの、在庫の解消とともに価格は回復に向かうと予想される。
注:一般社団法人日本養鶏協会が実施する鶏卵生産者経営安定対策事業のうちの一つ。需給改善を図ることを目的とし、当該日の標準取引価格が安定基準価格を下回った30日前から安定基準価格を上回る日の前日までに、更新のために成鶏を出荷し、その後60日以上の空舎期間を設けた生産者に対して、奨励金を交付するもの。

元年の成鶏更新・空舎延長事業の処理羽数1100万羽を超える
 日本養鶏協会が、平成30年度第2回(平成31年2月1日から3月31日まで)および令和元年度(令和元年5月20日から9月2日まで)に発動した成鶏更新・空舎延長事業の実施状況を更新した。元年12月31日時点の同事業参加者への交付件数は540件、成鶏の出荷羽数は1190万7499羽、処理羽数は1180万4563羽となり、9月30日時点の出荷羽数、処理羽数から約1.2倍増となった。(表2)

 
 また、5年ぶりの発動となった前年の平成30年度第1回(平成30年4月23日から6月25日まで)における同事業の実施状況は、出荷羽数406万172羽、処理羽数401万9186羽となっている。元年は2回の発動となり、発動期間の計も約半年間に汲んだことから、出荷羽数、処理羽数ともに前年を大きく上回った。

令和2年度の補てん基準価格、安定基準価格が決定
 農林水産省は令和元年12月12日、「令和2年度鶏卵生産者経営安定対策事業」のうち、「鶏卵価格差補塡事業」に係る補塡基準価格および「成鶏更新・空舎延長事業」の発動基準となる安定基準価格を決定した。補塡基準価格は鶏卵1キログラム当たり183円、安定基準価格は同161円と、いずれも元年度の価格から2円の引き下げとなった(表3)。
 


(畜産振興部 郡司 紗千代)