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海外の需給動向【牛肉/豪州】  畜産の情報 2020年2月号

2019/20年度牛総飼養頭数、長引く干ばつにより1990年代前半以来の最低水準と予測

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牛肉生産量、2カ月連続で前年同月を上回る
 豪州統計局(ABS)によると、2019年10月の成牛と畜頭数は、クイーンズランド州およびニューサウスウェールズ州で発生している干ばつにより雌牛を中心に淘汰が増加していることから、76万7600頭(前年同月比11.5%増)とかなり大きく増加した。と畜頭数の内訳を見ると、雄牛は33万9000頭(同0.8%減)、雌牛は42万8400頭(同23.6%増)となった。と畜頭数全体に占める雌牛の割合は、55.8%と11カ月連続で50%を上回った。
 1頭当たり枝肉重量は、284.2キログラム(同0.5%減)とわずかに減少したものの、同月の牛肉生産量(枝肉ベース)は、21万8145トン(同10.9%増)と、2カ月連続で前年同月を上回った(図4)。

 
2019/20年度牛総飼養頭数、1990年代前半以来の最低水準と予測
 豪州農業資源経済科学局(ABARES)は2019年12月10日、「Agricultural Commodities」の中で、2019/20年度(7月〜翌6月)の牛肉需給見通しを発表した。同見通しは、四半期に1度公表される(表2)。

 
 これによると、2019/20年度牛総飼養頭数は、これまで干ばつの影響から牛群を縮小させるために雌牛を中心に淘汰を継続してきたため、2350万頭(前年度比5.4%減)とやや減少し、1990年代前半以来の最低水準となると予測した。牛総飼養頭数の減少により、牛と畜頭数は841万頭(同3.4%減)、牛肉生産量は225万9000トン(同3.9%減)と、やや減少する見込みである。
 牛肉輸出量は、牛肉生産量の減少により116万トン(同5.0%減)とやや減少すると予測している。輸出先別に見ると、中国向け輸出量が前回予測(2019年9月)から上方修正されたことにより、これまで豪州最大の輸出先であった日本と順位が入れ替わり、2019/20年度は中国が最大の輸出先となる見込みである。
 また、肉牛取引価格は、アジア地域におけるASF(アフリカ豚コレラ)の発生に伴う需要の増加により、1キログラム当たり500豪セント(同12.1%高、395円:1豪ドル=79円)とかなり大きく上昇する見込みである。

2019年牛肉取引価格、国内は安定していたものの国際価格は急上昇
 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)は、2019年は長引く干ばつに伴う深刻な飼料不足と利用可能な水資源の減少により、牛群が縮小し続けたため、これまでに業界が経験したことのない年となったと評価した。このような困難な状況にもかかわらず、海外からの強い需要により、牛肉価格は安定した水準であった。
 肉牛取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は、干ばつにより牧草の状態が悪化したことを受け、牧草肥育業者の需要が減少したことから3月12日に枝肉重量1キログラム当たり385豪セント(304円)と2014年12月以来の最低価格となったが、ビクトリア州でまとまった降雨があったことで、その後上昇に転じ、数週間で500豪セント(395円)を超えた(図5)。7月の降雨により8月に2019年来最高値となり、11月にも国際需要の高まりを受け若干上昇したものの、500豪セント前後で安定的に推移し、12月18日の同価格は同483豪セント(382円)となった。


 
 また、国際市場の重要な指標である米国向け加工用牛肉価格(90CL、FAS(注))は、11月に1キログラム当たり968豪セント(765円)とピークに達し、その後も同928豪セント(733円)と、記録的な水準で取引されている。
注:90CL(ケミカルリーン)は赤身率90%の加工用牛肉バルクパック、FASは豪州の港における船側渡し価格のこと。
 
(調査情報部 菅原 由貴)