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海外の需給動向【牛乳・乳製品/ 豪州】 畜産の情報 2020年2月号

2019年10月の生乳生産量、17カ月連続で前年同月を下回る

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10月の生乳生産量は前年同月比5.5%減と依然前年同月を下回る
 デーリー・オーストラリア(DA)によると、2019年10月の生乳生産量は、96万1100キロリットル(98万9900トン相当、前年同月比5.5%減)と、17カ月連続で前年同月を下回った。2019年7〜10月では、311万3900キロリットル(320万7300トン相当、前年同期比5.8%減)と依然として前年同期をやや下回っている(図15)。豪州における生乳生産は、10月にピークを迎えたが、干ばつの影響により、引き続き干草、穀物などの飼料価格高に伴う生乳生産コスト高や経産牛頭数減の状況となっている。
 
 
 こうした中、干ばつの影響が比較的小さいタスマニア州やビクトリア州東部地域では、10月の生乳生産量がそれぞれ前年同月比1.6%増、同2.3%増といずれも2カ月連続で増加している。

10月の乳製品輸出量、全粉乳およびチーズが前年同月を上回る
 DAが発表した2019年10月の主要乳製品4品目の輸出量を見ると、全粉乳およびチーズが前年同月を上回る一方、脱脂粉乳およびバター類は前年同月を大幅に下回った。(表11、図16)。
 


 
 全粉乳については、生乳生産の減少などの影響により、前年同月割れが続いていたが、前年同月比30.8%増の5176トンと2018年5月以来17カ月ぶりに前年同月を上回った。これは、前年同月の実績が少なかったことも要因である。
 チーズは、他の品目より減少率が小さい状況で前年同月割れが続いていたが、同6.5%増の1万4636トンと2019年4月以来6カ月ぶりに前年同月を上回った。
 一方、脱脂粉乳は、特に2019年7月以降大幅な減少が続いており、同27.8%減の1万1144トンと減少率は前月から縮小したものの、2019年2月以降9カ月連続で前年同月を下回った。この結果、2019年7〜10月の輸入量は前年同期比で4割減少している。
 バター類は、2019年1月〜5月の間前年同月を大幅に上回って推移したが、その後、前年同月割れとなり、10月は同50.8%減の620トンと5カ月連続で前年同月を下回った。また、輸出量は3カ月連続で1000トンを下回る水準となっている。

18/19年度乳製品輸出量、主要4品目はバター類を除き前年度実績を下回る
 2018/19年度(7月〜翌6月)の主要乳製品4品目の輸出量を見ると、バター類を除き前年度実績を下回った。(表12)。
 

 バター類については、中国、マレーシア等向けが増加し、前年度比33.0%増の1万9733トンとなり、2012/13年度以来6年ぶりに増加した。
 一方、粉乳は、アジア向けが全体の9割以上を占めている。このうち、脱脂粉乳は最大の中国向けが同43.0%増と大幅に増加したものの、インドネシア、マレーシア、アフリカ等向けが減少し、全体で同3.5%減の15万1203トンとやや減少した。
 全粉乳は、最大の中国向けが同39.1%減となったのをはじめ、全体で同37.0%減の5万5139トンと大幅に減少し、2014/15年度以来4年ぶりに減少した。
 また、チーズは、全体の約半分を占める日本向けが同2.3%減の8万4800トンとなり、全体では同2.8%減の16万6070トンとなった。チーズの輸出量は、長期的に比較的安定しているが、従来のチェダーチーズ主体からフレッシュまたはクリームチーズへの移行が進んでおり、全体に占めるチェダーチーズ以外の輸出量は約77%に増加している。

18/19年度乳製品、全粉乳、バター類など輸入品への依存度高まる
 2018/19年度と2012/13年度の主要乳製品4品目の輸出量および輸入量の状況を見ると、品目により差がみられる。(図17)。
 
 
 2018/19年度は生乳生産量が減少する中、2012/13年度と比較して、脱脂粉乳およびチーズについては一定の輸出量が確保されている一方、全粉乳およびバター類は、大きく減少している。
 一方、輸入についてみると、この間、いずれの品目も増加しているが、特に全粉乳およびバター類は輸出量を上回っており、輸入品への依存度が高まっている。
 
(調査情報部 井田 俊二)