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国内の需給動向【令和元年の牛および豚枝肉の格付結果】 畜産の情報  2020年4月号

令和元年の牛および豚枝肉の格付結果

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 公益社団法人日本食肉格付協会は、令和元年(1月〜12月)の「牛枝肉格付結果(種別・性別)」および「豚枝肉格付結果」(令和2年2月19日版)を公表した。
 牛枝肉の格付実施率は、成牛のと畜頭数(103万8836頭)に対して85.4%と、前年から0.3ポイント減少した。一方、豚枝肉の格付実施率は、と畜頭数(1631万9392頭)に対して76.1%と前年から0.3ポイント増加し、2年連続で向上した。以下、畜種ごとの格付結果を紹介する。

【牛肉】元年の格付頭数、「A−5」と「A−4」が逆転
 元年の牛枝肉の総格付頭数は、成牛のと畜頭数が減少したことから、88万7029頭(前年比1.6%減)と前年をわずかに下回った。このうち、品種別の格付頭数は、和牛が前年を上回り、交雑牛および乳牛は前年を下回った。品種別・性別の頭数は、和牛去勢が24万5897頭(同1.0%増)と最も多く、次いで和牛めすが19万3180頭(同1.6%増)となり、和牛が全体の約半数を占めた(図11)。また、乳牛去勢は16万2777頭(同5.3%減)と全体の約2割を占め、交雑牛去勢は11万9167頭(同5.1%減)、交雑牛めすは10万5231頭(同5.0%減)と、交雑牛は全体の約25%を占めた。

 
 元年の品種・性別ごとの格付構成比を見ると、和牛去勢は「A−5」が45.9%と、初めて全体に占める割合が4割を超えた前年からさらに5.4ポイント増加した一方、「A−4」は35.3%と同2.6ポイント減少した(図12)。10年間の推移を見ると、歩留等級が標準より良いことを表す「A等級」の割合が平成24年に9割を超えて増加傾向で推移するとともに、肉質等級が最も高いことを表す「5等級」も増加傾向で推移し、「A−5」等級の発生率は10年間では2.6倍と大幅に拡大し30年には「A−4」のシェアを超えている。
 


 交雑牛去勢は、「B−3」が37.9%と最も多く、シェアは前年並みとなった。また、「B−4」が13.6%と同1.4ポイント増加した一方、「B−2」は21.7%と同2.6ポイント減少した(図13)。10年間の推移を見ると、「B−4」はシェアが倍増し、「B−2」のシェアが4割減となった。
 

 乳牛去勢は「B−2」が53.2%と同4.1ポイント減少した一方、「C−2」等級は42.8%と同4.4ポイント増加した(図14)。10年間の推移を見ると、「B−2」は27年をピークに減少に転じ、28年以降は「C−2」が増加傾向で推移している。

 
 以上の結果から、和牛去勢については、優良系統の選抜や飼養管理技術の向上などにより肉質が向上していることがうかがえる。
 元年の国産牛全体における等級ごとの格付頭数の推移を見ると、「A−5」が17万3314頭(前年比13.8%増)とかなりの程度増加し、初めて「A−4」を上回った。また、「B−2」が17万5676頭(前年比10.8%減)とかなりの程度、「A−4」が15万1944頭(前年比3.9%減)とやや減少した(図15)。
 

 10年間の推移を見ると、「B−2」は約3割減少した。これは、品種別・性別の構成割合を見ると「B−2」のうち、約5割を乳牛去勢が、約3割を交雑牛が占めることから、近年の交雑牛および乳牛の出荷頭数の減少が格付頭数の減少として反映されたとみられる(図16)。一方、「A−5」は大きく増加した反面、「A−4」および「A−3」は減少傾向となっている。これは、「A−4」および「A−5」の9割以上を、「A−3」の約8割を占める和牛において、優良系統の選抜や飼養管理技術の向上により、肉質が向上していることが反映されたものとみられる。
 
 

【豚肉】元年の格付構成比、「上」が49.0%、「中」が33.8%
 元年の豚枝肉の総格付頭数は、1241万7790頭(前年比0.3%減)と前年並みとなった。等級別の格付頭数を見ると、「上」が608万1826頭(前年比0.1%減)と最も多く、次いで「中」が419万9754頭(前年比0.6%減)、「並」が156万2339頭(前年比0.3%減)、「等外」が54万3903頭(前年比1.8%減)、「極上」が2万9968頭(前年比31.8%増)となった(図17)。

 
 元年の等級別の格付構成比を見ると、「上」が49.0%と最も多く、次いで「中」が33.8%、「並」が12.6%、「等外」が4.4%、「極上」が0.2%となり、近年は比較的安定した構成比となっている(図18)。

 
(畜産振興部 郡司 紗千代)