畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > 2年2月の鶏卵卸売価格、緩やかに回復も補てん事業は引き続き発動

国内の需給動向【鶏卵】 畜産の情報 2020年4月号

2年2月の鶏卵卸売価格、緩やかに回復も補てん事業は引き続き発動

印刷ページ

 
 令和2年2月の鶏卵卸売価格(東京、M玉基準値)は、前月比15円高の1キログラム当たり185円(前年同月比33円高)となった(図25)。
 
 
 同価格は、例年、最需要期の12月に向けて上昇した後、年明けに下落し、春先に向けて再び上昇する傾向がある。 本年は、初値が前年を上回ったものの、その後の上昇は例年に比べて緩やかな推移となった。
 こうした状況を受け、日本養鶏協会が実施する鶏卵生産者経営安定事業(注)のうち、「鶏卵価格差補?事業」が1月に引き続き2月も発動した。
 今後の見通しとして、供給面では、これから気温が和らぐことにより生産量および卵重が安定して推移する時期を迎える。一方、採卵用めすひなえ付け羽数の推移を見ると、春先にかけて産卵を開始する鶏がえ付けされた時期にあたる約5カ月前の羽数が前年同月を下回って推移していたため、生産量は前年を下回ることが予想される(図26)。
 
 
 また、需要面では、外出や宴会を控える動きや学校給食の一部停止などによる外食や加工向けの需要への影響が不透明である一方、内食需要の高まりに加えて決算に向けた量販店による引き合いの高まりが見込まれることから、今後の動向が注視される。
注: 一般社団法人日本養鶏協会が実施する鶏卵生産者経営安定対策事業のうちの一つ。鶏卵価格が低下した場合(補填基準価格を下回った場合)に価格差補てんを行う「鶏卵価格差補填事業」と、価格がさらに下落した場合(安定基準価格を下回った場合)に生産調整により需給改善を図る「成鶏更新・空舎延長事業」がある。

元年の採卵用種鶏の初生ひなめすの輸入羽数、前年をかなり大きく上回る
 農林水産省動物検疫所が公表した令和元年(1〜12月)の初生ひな国別輸入状況によると、採卵用原種鶏の初生ひなめすの輸入羽数は、1万7946羽(前年比33.1%減)と前年を大幅に下回り、輸入先は米国とカナダの2カ国からとなった(図27)。また、採卵用種鶏の初生ひなめすの輸入羽数は、9万8839羽(同13.8%増)と前年をかなり大きく上回り、輸入先はオランダが最も多く、次いでカナダ、フランス、米国の4カ国からとなった(図28)。
 

 
 
 輸入先国において鳥インフルエンザが発生すると、他国からの輸入に切り替えを行うため、各年の国別構成比は異なるものの、種鶏初生ひなめす全体の輸入羽数は9万羽前後を安定して推移している。

元年のマヨネーズ生産量、中食・外食需要を受けて堅調に推移
 全国マヨネーズ・ドレッシング類協会によると、令和元年(1〜12月)のマヨネーズ・ドレッシング類の生産量は40万9905トン(前年比0.2%減)と前年並みとなった。このうち、マヨネーズが22万5239トン(同2.0%増)と前年を上回った一方、その他の半固形状ドレッシングは6万1302トン(同2.6%減)と前年を下回った(図29)。
 
 
 鶏卵を原材料とするマヨネーズの生産量は、中食・外食ニーズに対応した特色ある新商品の開発や用途の拡大などにより、おおむね堅調に推移していることがうかがえる。
 
(畜産振興部 郡司 紗千代)