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海外の需給動向【豚肉/EU】  畜産の情報  2020年4月号

2019年の豚肉輸出量は、前年比27.6%増

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中国向け輸出量は前年比2倍に
 欧州委員会によると、英国を含むEU28カ国の2019年の豚肉(生鮮・冷蔵、冷凍)輸出量は、前年比27.6%増の273万16トンとなった(表6)。韓国向けなどで減少したものの、輸出先第1位の中国向けの増加などにより、2019年はいずれの月も前年同月を上回って推移した。
 
 
 最も増加が大きかったのは中国向けで、同国で発生したASF(アフリカ豚熱)の影響により、豚肉輸出量は、前年比2.1倍となった。なお、同国向けの輸出量(143万3953トン)は、EUの域外輸出量の53%を占めている。
 輸出先第2位の日本向けは、同3.2%増となった。同国向けの年間輸出量は、2013年以降、2015年を除き、いずれの年も前年の水準を上回って推移している。なお、同国向けの輸出量(35万6525トン)は、EUの域外輸出量の13%を占めている。
 一方、韓国向け(同22.5%減)、フィリピン向け(同22.6%減)、米国向け(同30.0%減)などは減少した。
 主な輸出国を国別に見ると、ポーランドおよびベルギーを除き、いずれも増加した(表7)。第1位のスペインは76万164トン(同32.5%増)、第2位のドイツは55万7098トン(同23.9%増)となった。スペインのEUの輸出量全体に占める割合は28%、ドイツは同20%となり、2カ国の輸出量の合計は全体の約半数を占めている。
 
 
 第1位のスペインは、養豚産業を基幹かつ成長産業と位置付けている。EU28カ国の2019年1〜11月の豚肉生産量が前年同期比1.0%減(2173万5190トン)となる中、スペインの生産量は同1.8%増(424万7160トン)と増加しており、生産量の拡大を図るとともに、世界各地への輸出を拡大させている。

輸出が増加する中、価格の上昇が続く
 豚枝肉卸売価格(EU27カ国および英国)は、豚肉生産量が減少する一方で、輸出量が拡大していることなどから、高い価格水準となっている。
 同価格は、2019年4月以降、10カ月連続で前年の価格を上回って推移しており、2020年1月は前年同月比38.5%高の100キログラム当たり185.99ユーロ(2万2691円:1ユーロ=122円)となった(図11)。
 
 
1月のデンマークの豚飼養頭数は、前年比0.7%増
 EUの主要豚肉輸出国であるデンマークの統計局は、四半期に一度、豚の飼養頭数を公表している(表8)。
 
 
 同局によると、デンマークの2020年1月1日時点の豚飼養頭数は、前年比0.7%増の1272万8000頭となり、5四半期ぶりの増加となった。
 妊娠母豚は増加したものの、繁殖仕向け雌豚の減少などにより、繁殖豚合計では同0.1%減の126万頭となった。また、初生子豚は同1.3%増の260万9000頭、離乳子豚は同0.7%減の586万2000頭、肥育豚は同3.3%増の299万7000頭となった。なお、妊娠母豚、肥育豚、初生子豚はいずれも5四半期ぶりに増加した。
 2019年1〜11月のデンマークの豚肉生産量は、飼養頭数の減少などの影響により、前年同期比6.3%減(137万5200トン)となったが、生体豚(主に子豚)輸出の動向にもよるものの、5四半期ぶりの飼養頭数の増加が豚肉生産量の増加につながるのかどうかが注目される。
 
(調査情報部 前田 絵梨)