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海外の需給動向【飼料穀物/ブラジル】 畜産の情報  2020年5月号

2019/20年度生産見通し、トウモロコシ・大豆ともに過去最高水準

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 ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は3月10日、2019/20年度(10月〜翌9月)第6回目となる主要穀物の生産状況等調査結果の要約版を、同15日に州ごとの分析を加えた完全版を公表した。当該調査は、春植えの夏期作物(大豆、第1作トウモロコシなど)や秋植えの冬期作物(第2作・第3作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など)の生産予測を毎月公表するものである。これによると、穀物合計では作付面積、単収がともに前年度を上回ることから、生産量も前年度を上回ると見込まれている(表16)。
 

トウモロコシ生産量は前回公表から減少し、前年並みの見込み
 トウモロコシの生産量は、第1〜3作トウモロコシの単収がいずれも減少するものの、作付面積が前年を上回ることから、過去最高となった前年と同程度となる見込みとなった(表17)。
 

 作付時期別に見てみると、第1作トウモロコシの生産量は、前年度比0.3%減の2556万500トンと見込まれている。主要生産州(上位5州)の生産量は同4.0%減と前年をやや減少すると見込まれている。これは、第1作の最大生産州である南部のリオグランデドスル州において、昨年12月から1月上旬にかけて干ばつが発生したことから、単収が同24.3%減と見込まれていることが大きく影響している。この干ばつの影響は前回公表(同16.5%減)よりも大きくなっており、今年度はミナスジェライス州が最大生産州になる見通しとなった。しかしながら、ミナスジェライス州においても、天候が良好なため単収は前年をかなりの程度上回るものの、農家が相場の高い大豆生産を優先していることから作付面積がかなりの程度減少するため、生産量はわずかな増加にとどまる見通しとなっている。また、パラナ州でも同様の傾向となる見込みとなっている。一方、中西部のゴイアス州では、作付面積、単収共に前年を上回ることから、生産量は同10.7%増の見込みとなった。
 第2作および第3作トウモロコシの生産量は、それぞれ同0.3%増の7336万6300トン、同5.1%減の115万6500トンと見込まれている。最大生産州のマットグロッソ州では、国内外からの堅調な需要などによりトウモロコシ価格が堅調であることから、作付面積を増やす農家が多く、生産量は同8.4%増の3365万8900トンと見込まれている。ただし、第2作はまだ作付けが始まったばかりであることから、今後の天候次第で大きく変動する可能性もある。なお、第3作は5月から播種(はしゅ) が始まるため、今回の報告では、まだ作付面積の予測が行われておらず、前年度並みに仮置きされており、今後、徐々に見通しが判明する見込みである。

大豆生産量は5回連続の上方修正で過去最高の見込み
 大豆の生産量については、作付面積および単収の増加が続いていることから、前年度比8.0%増の1億2420万5100トンと過去最高を更新する見込みとなった(表16、表18)。堅調な相場により生産者の作付意欲が高く、天候も比較的良かったことから単収も増加する見込みとなった。公表回を追うごとに生産量が上方修正され、さらに記録を更新する見込みとなっている。
 
 

 最大生産州のマットグロッソ州では、天候も良好なため、前回公表と比べて単収が上方修正されており、生産量は同7.2%増の見込みとなった。一方、南部のリオグランデドスル州では干ばつの影響があったことから、前回公表に引き続き単収が下方修正されており、生産量は同12.0%減の1687万9100トンと見込まれている。

(調査情報部 山口 真功)