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海外の需給動向【牛肉/豪州】 畜産の情報 2020年7月号

3月の成牛と畜頭数、2カ月連続で前年同月割れ。牛群再構築への動きが加速

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3月の成牛と畜頭数、雌牛を中心に前年同月比10.3%減
 豪州統計局(ABS)によると、2020年3月の成牛と畜頭数は、65万8800頭(前年同月比10.3%減)と2カ月連続で前年同月を下回った(図4)。内訳を見ると、雄牛は31万4000頭(同1.9%増)と前年同月をわずかに上回った一方、雌牛は34万4700頭(同19.2%減)と前年同月を大幅に下回った。雌牛のと畜頭数は、2017年12月以降、前年同月を上回って推移していたが、2020年2月、27カ月ぶりに前年同月割れに転じ、3月も前年同月割れとなっており、牛群再構築への動きが加速している。と畜頭数全体に占める雌牛の割合を見ても、52.3%と、高水準であった前年同月(58.1%)より5.8ポイント低下した。
 
 
 豪州では、肉用牛生産地域である東部を中心に、2年以上にわたり厳しい干ばつが続いていたが、2月以降、肉用牛生産地域で広範かつ持続的な降雨に恵まれており、牧草の生育状況などの飼養環境が劇的に改善した。このため、牧草肥育牛生産者は牛群再構築に向け牛の保留を図ったものとみられる。
 2020年3月の牛肉生産量(枝肉ベース)は、と畜動向などを反映して、19万2183トン(前年同月比6.8%減)と、こちらも2カ月連続で前年同月を下回った。一方、1頭当たり枝肉重量は、雌牛と畜比率の低下や飼養環境の改善などにより、291.7キログラム(同3.9%増)と3カ月連続で前年同月を上回った。

1〜3月期のフィードロット飼養頭数、降雨に恵まれ前回比12.3%減
 豪州フィードロット協会(ALFA)と豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)は5月18日、共同で四半期ごとに実施している全国フィードロット飼養頭数調査の結果(2020年1〜3月期)を公表した。これによると、2020年3月末のフィードロット飼養頭数は、108万7594頭(前年同期比5.1%減)と、過去最高を記録した前期(2019年10〜12月期)から12.3%減少し、前年同期および前期と比べてともに減少したものの、2018年1〜3月期以来9期連続で100万頭を上回った(図5)。

 
 今回の調査では、東部地域を中心に肉用牛生産地域で広く降雨に恵まれた結果、フィードロット業者と牛群再構築を図る牧草肥育牛生産者との間で肥育もと牛の競合が激化したことに加え、穀物価格が依然高い水準であることからフィードロット飼養頭数が減少に転じたものとみている。また、フィードロット収容可能頭数が139万7470頭(前期比1.3%増)と前期をわずかに上回った結果、フィードロットの稼働率は、前期より12ポイント低下し77.8%となった。
 ALFAのブライス・カム会長によると、今回の調査結果は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が豪州フィードロット産業に及ぼす影響をまだ十分に反映しておらず、今後数カ月間は、外食産業の需要が大幅に減少していることによりフィードロット飼養頭数がさらに減少すると予想している。

1〜3月期の穀物肥育牛と畜頭数、過去最高を記録
 2020年1〜3月期の穀物肥育牛と畜頭数は、前述の通り前期のフィードロット飼養頭数が過去最高であったことなどを反映し、86万3403頭(前期比21.0%増)と大幅に増加し、過去最高を記録した(前年同期比14.7%増、図6)。また、牧草肥育牛と畜頭数が減少したことにより、全体のと畜頭数が193万5300頭(前期比9.1%減)と200万頭を下回る水準であったことから、穀物肥育牛の占める割合は44.6%と高水準になった。
 
 
2020年は牛群再構築に向け、牛肉生産量、輸出量とも大幅減の見通し
 MLAは4月、「Industry projections 2020 April update」において、四半期に一度の牛肉生産量などの見通しに関する情報を公表した(表2)。このうち2020年の見通しは次の通り。
 
 
 牛飼養頭数(2020年6月末時点)は、2019年後半に繁殖雌牛のと畜が増加した結果、2480万頭(前年比5.3%減)と低水準に落ち込むが、それ以降は、飼養環境の改善および牛群再構築の進展により、前回の見通しより速いペースで飼養頭数の回復が進むと見込んでいる。
 と畜頭数は、飼養頭数の減少、降雨による飼養環境の改善および今後3カ月予測される安定的な降雨により、牛群再構築に向けた牛の保留が増加することから、1990年代半ば以来となる690万頭(同18.7%減)と大幅に減少すると見込んでいる。また、その後も気象条件に大きな変動が生じない場合には、引き続き数年間、と畜頭数は極めて低水準で推移すると見込んでいる。
 このため、牛肉生産量は、202万8000トン(同15.7%減)とかなり大きな減少を見込んでいる。一方、1頭当たり枝肉重量は、飼養環境の改善、単位面積当たり飼養頭数の減少および雌牛と畜比率の低下により、前年より10.4キログラム増の294.0キログラム(同3.7%増)とやや増加するとしている。
 牛肉輸出量は、2020年1〜3月の実績は前年並みとなったものの、生産量の減少により99万トン(同19.4%減)と大幅な減少を見込んでいる。COVID-19は国際市場に多大な影響を及ぼしているが、現時点で豪州牛肉産業にとってどの程度のものとなるか、予測することは困難である。また中国以外の国では、3月以降にCOVID-19による混乱が強まったため、今後、国際市場にはさらに大きな影響が及ぶとみられる。
 豪州産牛肉はその多くが外食産業で消費されるといわれており、特に、食肉処理業者にとって利益確保に欠かせない高級部位であるロインは外食産業向けが中心である。多くの市場では、COVID-19の影響で、牛肉の購入や消費形態が急速に変化し、外食需要が減少する一方、小売やオンラインによる家庭消費需要が増加しており、その影響は、より顕著に現れるものと危惧されている。
 豪州では、長期にわたる干ばつ後の降雨に伴う牛肉需給の急激な変化や、予測が困難とされるCOVID-19の影響に加え、5月の中国による豪州の4牛肉処理場からの牛肉輸入停止措置(注)など、豪州産牛肉をめぐる国内外の情勢に変化がうかがえる中、同国の牛肉生産動向が注目される。

(注) 中国による豪州産牛肉の輸入の一部停止の状況については、海外情報「中国が豪州の4つの牛肉処理場からの牛肉輸入停止を通告」
   (https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002706.html)を参照されたい。

 
(調査情報部 井田 俊二)



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