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海外の需給動向【豚肉/米国】  畜産の情報  2020年8月号

1〜4月の米国の豚肉輸出量、中国向けが好調

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2020年1〜4月の豚肉輸出量、前年同期比35.2%増
 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が2020年6月5日に更新した「Livestock and Meat International Trade Data」によると、2020年1月から4月までの豚肉輸出量の合計は、中国・香港向けなどの増加により、120万8492トン(前年同期比35.2%増)と前年同期を大幅に上回った(表4、図6)。輸出先別に見ると、全体の3割以上を占める中国・香港向けは、中国国内のASF(アフリカ豚熱)流行に伴う輸入豚肉の需要増を背景に増加しており、前年同期の5倍以上となる37万8057トンとなった。次いで約2割を占めるメキシコ向けは、24万2005トン(同5.3%増)と前年同期をやや上回った。また、2割弱を占める日本向けは、20万1351トン(同16.4%増)と前年同期を大幅に上回った。
 


 
 なお、香港国家安全法に対してトランプ大統領が表明した香港に対する優遇措置撤廃への対抗措置として、中国政府が豚肉、大豆など一部の米国産農産物の輸入停止を示唆したと報じられていることから、米国最大の輸出先となった中国・香港向け豚肉輸出の今後の動向が注目される。

飼養頭数、過去最高を記録
 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2020年6月25日に公表した「Quarterly Hogs and Pigs」によると、6月1日時点の豚総飼養頭数は、近年の繁殖豚や1腹当たり産子数の増加などを背景に、前年同月比5.2%増の7963万4000頭となり、過去最高を更新した(図7)。飼養頭数のうち、180ポンド(82キログラム)以上の肥育豚は同12.8%増と前年同月をかなり大きく上回った。これは、新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)流行による食肉処理施設の稼働率低下などが影響したとみられる。

 
 こうした状況の中、米国の豚肉卸売価格(カットアウトバリュー(注))の動向を見ると、食肉処理施設の稼働率が大きく落ち込んだ4月下旬から5月中旬(第18〜21週)までの間は高騰したものの、稼働率の回復に伴い、6月中旬(第25、26週)には高騰前の水準まで下がっている(図8)。

(注) カットアウトバリューとは、各部分肉の卸売価格を1頭分の枝肉に再構成した卸売指標価格。

 (調査情報部 河村 侑紀)