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国内の需給動向【2019年度下半期の和牛の販売動向について】 畜産の情報 2020年9月号

2019年度下半期の和牛の販売動向について

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 公益社団法人日本食肉格付協会が公表した2019年における牛枝肉(和牛)の格付結果を見ると、市場で取引される牛枝肉の等級別割合(頭数ベース)は5等級が40%と最も多く、次いで4等級が35%、3等級が14%、2等級が10%、1等級が1%となっている(図6)。5等級の格付割合は、育種改良や飼養管理技術の向上などにより、過去10年で2割から4割にまで増加しており、全体として見ると5等級および4等級の上位等級で75%を占めている。
 
 
 当機構では、食肉の消費・販売動向を把握するため、年に2回、卸売業者(牛肉・豚肉延べ27社)および小売業者(量販店・食肉専門店計延べ82社)の協力を得て、食肉の取り扱いなどに関する調査を実施している。今回は、本年2月に実施した食肉販売動向調査の結果から、和牛の等級別の販売動向(2019年度下半期実績)について報告する。

卸売業者における販売動向
 卸売業者における牛肉の仕向け先別販売割合の実績(重量ベース、以下同様)を見ると、和牛は「量販店・食肉専門店」が最も多く56%となった(図7)。
 
 
 また、当該販売割合および農林水産省が公表している食肉消費構成割合を勘案すると、「食肉加工業者」および「二次卸売業者」に販売された牛肉の大部分は、最終的に外食店に仕向けられるとみられる(表1)。
 
 
5等級は主に食肉専門店へ、4等級以下は主に量販店へ
 前述の通り、卸売業者における和牛の仕向け先別販売割合の過半を「量販店・食肉専門店」が占めていたが、等級別の主な販売先を見ると、5等級は「食肉専門店」が最も多く、4等級以下は「量販店」が最も多かった(図8)。また、等級によって販売先の外食の形態が異なることも分かる。なお、食肉専門店は小口の販売先であることから、件数ベースでは多いものの、販売重量ベースでは少なくなるとみられる。
 
 
量販店における等級別取扱割合は4等級と3等級で8割を占める
 量販店における等級別取扱割合を見ると、4等級が52%と最も多く、次いで、3等級が28%、5等級が17%、2等級が3%となり、4等級および3等級で8割を占める結果となった(図9)。主な部位として、4等級は「かた」および「もも」が最も多かった。量販店では和牛の中でも比較的低価格な等級や部位を中心に取り扱っていることがうかがえる。
 
 
 一方、食肉専門店における等級別取扱割合は、5等級が48%と最も多く、次いで4等級が38%、3等級が10%、2等級が4%となった。5等級は「かたロース」、4等級および3等級は「もも」が最も多かったことから、食肉専門店では、取扱量自体は少ないものの、高級部位の取扱比率が高いことがうかがえる。
 
(畜産振興部 岩井 椿)