畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > 米国の雌牛と畜割合、2020年上半期は49.5%

海外の需給動向【牛肉/米国】 畜産の情報 2020年9月号

米国の雌牛と畜割合、2020年上半期は49.5%

印刷ページ
2020年7月1日現在の牛飼養頭数は前年並み
 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2020年7月24日に公表した「Cattle」によると、同年7月1日時点の牛総飼養頭数は、1億300万頭(前年比0.1%増)と前年並みとなった(表1)。
 
 
 内訳を見ると、繁殖雌牛(経産牛)が同0.5%減の4140万頭、子牛が同0.4%減の2800万頭と前年を下回ったものの、未経産牛が同0.6%増の1650万頭、去勢牛が同2.0%増の1500万頭と前年を上回った。さらに未経産牛の内訳を見ると、肉用繁殖後継牛、乳用繁殖後継牛はそれぞれ440万頭、410万頭と前年並みとなったものの、その他の未経産牛(フィードロットで肥育されている牛など)は同1.3%増の800万頭と前年を上回った。

雌牛と畜割合、2020年上半期は49.5%
 USDA/NASSが2020年7月23日に公表した「Livestock Slaughter」によると、2020年上半期(1〜6月)の成牛と畜頭数に占める雌牛の割合は、前年同期比1ポイント増の49.5%となった(図1)。一般的に、雌牛割合が47%を超えると繁殖雌牛頭数は減少傾向になるとされているが、2018年以降は47%を上回り、繁殖雌牛の飼養頭数が2年連続で前年を下回っていることから、牛群拡大の動きは鈍化している。
 
 
牛枝肉重量、増加傾向で推移
 2020年6月の1頭当たりの平均牛枝肉重量は、376.5キログラム(前年同月比4.3%増)となり、8カ月連続で前年同月を上回った(図2)。枝肉重量が増加している要因としては、昨冬の天候が比較的良好であったことに加え、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で4月に急落した食肉処理場の稼働率回復に伴い、出荷できずに肥育期間が延びた牛が出荷されていることなどが挙げられる。
 
 
肥育牛価格続落でフィードロットの収益性悪化
 2020年6月の肥育牛価格は、前年同月比11.6%安の100ポンド当たり100.0米ドル(1キログラム当たり234円:1米ドル=106円)となり、5カ月連続で前年同月を下回った(図3)。同年2月以降、軟調に推移している要因としては、昨冬の好調な生産量に加え、COVID-19の影響による食肉処理場の稼働率低下や外食需要の落ち込みなどが考えられる。この続落により、フィードロットの収益性は悪化しており、この傾向が続けば、今後のフィードロット導入頭数などに影響が及ぶ可能性がある。
 
 
牛肉卸売価格、6週連続で前年を下回る
 COVID-19の影響で一時急騰した牛肉卸売価格(カットアウトバリュー(注))は、食肉処理場の稼働率回復などに伴って5月中旬(第20週)をピークに急落した(図4)。6月中旬(第25週)以降は、フィードロットで出荷待ちとなっている牛が多いことや、外食需要の減少が続いていることなどにより、前年を下回って推移している。なお、USDAによると、食肉処理場は土曜日も含めた週6日の稼働などにより、稼働状況の改善に努めている。
 

(注) 各部分肉の卸売価格を1頭分の枝肉に再構成した卸売指標価格。
 
(調査情報部 河村 侑紀)