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海外の需給動向【牛乳・乳製品/NZ】 畜産の情報  2020年9月号

2020/21年度生乳生産量は、わずかに前年同月比増でスタート

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6月の生乳生産量は、前年同月比1.8%増
 ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2020/21年度(6月〜翌5月)の始まりである6月の生乳生産量は、5月以降の降雨などにより干ばつが徐々に収束し、牧草の生育が回復したことなどから、23万トン(前年同月比1.8%増)となった(図25)。新年度が始まり、これから本格的な生産が始まる中で、南島の東海岸などの一部の地域ではいまだ干ばつが見られることから、同国の気象変化には引き続き注視していく必要がある。
 
 
6月の乳製品輸出量、チーズを除く主要3品目が前年同月を上回る
 ニュージーランド統計局(Statistics NZ)によると、2020年6月の乳製品主要4品目の輸出量は、脱脂粉乳、全粉乳およびバター類が前年同月を上回る一方、チーズは下回った(表10、図26)。
 

 
 
 
 脱脂粉乳については、前年同月比14.0%増の2万8059トンと前年同月をかなり大きく上回った。輸出先別に見ると、中国のほかフィリピンやインドネシアなど東南アジア向けが多かった。2019/20年度(7月〜翌6月)では前年度比0.6%増の37万5827トンとわずかに増加した。
 全粉乳は、前年同月比21.0%増の11万24トンと7カ月ぶりに、前年同月を大幅に上回った。輸出先別に見ると、中国やアラブ首長国連邦向けが多かった。2019/20年度では、前年度比0.3%減の150万2151トンとわずかに減少した。
 バター類は、前年同月比0.5%増の3万4317トンと前年同月をわずかに上回った。輸出先別に見ると、中国や米国向けが増加した一方、日本向けが減少した。2019/20年度では、前年度比6.2%減の43万8221トンとかなりの程度減少した。
 一方、チーズは前年同月比11.2%減の2万4611トンと前年同月をかなり大きく下回った。輸出先別に見ると、中国向けが増加した一方、豪州や日本向けが減少した。2019/20年度では、前年度比2.8%減の32万3989トンとわずかに減少した。

乳製品国際価格は、バターが前回からやや下落
 2020年7月21日に開催されたグローバルデイリートレード(GDT:月2回開催されるフォンテラ社主催の電子オークション。乳製品の国際価格の指標とされる)の乳製品主要4品目の1トン当たり平均取引価格は、以下の通りとなった(表11、図27)。前回開催(同年7月7日)時との比較では、バターは5.0%安とやや、脱脂粉乳は0.5%安とわずかに下落したものの、全粉乳、チーズはわずかに上昇した。
 



 
 脱脂粉乳の価格は、前回比0.5%安の1トン当たり2680米ドル(28万4080円)であった。東南アジアやオセアニアからの買いが強まり、前回から2倍近い量が取引されたものの、北アジア(注)からの買いが弱かったことなどから、全体としてはわずかに下落となった。
 全粉乳は、前回に続き価格が上昇したものの、同0.3%高の同3218米ドル(34万1108円)とわずかな上昇にとどまった。アフリカからの購入量はわずかに増加したが、中東からの購入量は少なく、中米・南米、東南アジア・オセアニアともに前回よりも大幅に購入量を減らしており、各国の当面の需要が満たされていることがうかがえる。
 バターは、同5.0%安の同3533米ドル(37万4498円)であった。一部の地域(特に米国)では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、外食産業が再び営業停止や短縮営業を余儀なくされていることから、特に業務用バターの販売が厳しい状況となっている。
 チーズは、同1.1%高の同3803米ドル(40万3118円)と前回に続きわずかに上昇した。
 現地報道によれば、例年、この時期はニュージーランドの生乳生産シーズンが始まり、早めに購入量を確保する動きが見られるが、COVID-19の拡大による影響を懸念したためか、全体として買いが伸びなかったとのことである。

(注) ニュージーランド外務貿易省は、中国、日本、香港、韓国、台湾を北アジアとしている。
 
(調査情報部 廣田 李花子)