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国内の需給動向【最近の食肉の輸出動向について】 畜産の情報 2020年11月号

最近の食肉の輸出動向について

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 日本産の食肉の輸出は近年拡大傾向で推移している。令和2年4月には「農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律(令和元年法律第57号)」が施行され、国を挙げて輸出促進活動が行われている。このような中、最近の食肉の輸出動向を輸出額で見ると、最も大きいのは牛肉で、次いで鶏肉、豚肉となっており、元年度の牛肉および豚肉の輸出額は過去最高となった(図15)。畜種別の動向は以下の通り。
 

 
【牛肉】
 令和元年度(4月〜翌3月)の牛肉輸出量(部分肉ベース)は前年度比8.9%増の4139トン、輸出金額は同7.8%増の281億円と過去最高となった(図16)。日本産和牛の認知度の向上などが牛肉輸出の拡大につながっているとみられる。輸出量の内訳を見ると、冷蔵牛肉は2061トン(前年度比7.8%増)、冷凍牛肉は2077トン(同10.0%増)となり、冷蔵と冷凍の割合は同程度となっている。

 
 
 2年度(4〜8月)の輸出量は、前年同期比7.0%増の1816トンとなった一方、輸出金額は同12.9%減の101億円となった。輸出量は前年同期を上回っているものの、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による輸出先での外食需要の低迷などにより、輸出金額が伸び悩んでいるものとみられる。輸出量を月別に見ると、4月および5月は前年同月を下回っていたものの、6月以降は回復が見られ、前年同月を上回って推移している(図17)。
 


 
 輸出先については、牛肉全体で見ると多くがアジアに輸出されているが、冷蔵牛肉と冷凍牛肉で輸出先は異なっている(図19、20)。日本からの牛肉の輸出が可能な国・地域は、アジアを中心に中東、欧州、北米・中南米、大洋州のさまざまな国や地域に広がっており、現在は、中国や韓国などと輸出解禁のための協議が行われている。

 
 
 冷蔵牛肉の輸出先を見ると、元年度の最大の輸出先は台湾で556トン(シェア27%)、次いで香港が527トン(同26%)、米国が334トン(同16%)、シンガポールが219トン(同11%)となり、上位4カ国・地域で8割を占めている(表1)。
 

 
 2年度(4〜8月)の輸出先も、上位4カ国・地域の順位は同じで、台湾が290トン(同38%)、香港が199トン(同26%)、米国が111トン(同15%)、シンガポールが56トン(同7%)となっている。
 台湾向けは、日本で牛海綿状脳症(BSE)感染牛が確認されて以来停止されていた日本産牛肉の輸入が16年ぶりに解禁された平成29年度以降、輸出量を伸ばし、現在は冷蔵牛肉の最大の輸出先となっている。
 冷凍牛肉の輸出先を見ると、元年度の最大の輸出先はカンボジアで1054トン(シェア51%)、次いで香港が347トン(同17%)、タイが215トン(同10%)となり、上位3カ国・地域で約8割を占めている。
 2年度(4〜8月)は、上位2カ国・地域の順位は元年度と同様で、カンボジアが557トン(同53%)、香港が211トン(同20%)となっている。第3位はフィリピンで78トン(同7%)と、4〜8月の5カ月間で、輸出量は前年度の2倍以上となり、第4位はタイで53トン(同5%)となった。

【豚肉】
 令和元年度(4月〜翌3月)の豚肉輸出量(部分肉ベース)は前年度比21.3%増の833トン、輸出金額は同20.2%増の10億円と牛肉同様、過去最高となった(図21)。日本の食文化とセットにした日本ブランドによる販売促進の効果などが豚肉輸出の拡大につながっているとみられる。輸出量の内訳を見ると、冷蔵豚肉は38トン(前年度比12.8%増)、冷凍豚肉は795トン(同21.7%増)となり、輸出量の95%が冷凍豚肉となっている。
 

 
 2年度(4〜8月)の輸出量は前年同期比55.7%増の497トン、輸出金額は同56.5%増の6億円と、ともに前年同期を大幅に上回った。これは、COVID‐19の影響で、輸出先での小売店向け需要が増加していることなどによるものとみられる。月別輸出量および輸出金額を見ると、2年5月を除き、いずれの月も前年同月を上回って推移している(図22、23)。
 
 

 
 輸出量の大半はアジアに輸出されており、香港およびシンガポール向けでそのほとんどを占めている(図24)。日本からの豚肉の輸出が可能な国・地域は限られており、アジアの八つの国・地域および中東のアラブ首長国連邦(ただしドバイ首長国に限る)となっている。現在は、EUや中国などと輸出解禁のための協議が行われている。
 

 冷蔵豚肉の輸出先は、元年度、2年度(4〜8月)ともに香港のみであった(表2)。
 冷凍豚肉の輸出先を見ると、元年度の最大の輸出先は香港で582トン(シェア73%)、次いでシンガポールが179トン(同23%)となった。また、2年度(4〜8月)も同様の傾向で、香港が364トン(同76%)、次いでシンガポールが100トン(同21%)となった。
 

 
【鶏肉】
 令和元年度(4月〜翌3月)の鶏肉輸出量(製品重量ベース)は前年度比5.7%減の9155トン、輸出金額は同3.8%減の19億円となった(図25)。輸出量の内訳を見ると、冷凍の正肉(もも肉およびむね肉)は377トン(前年度比91.7%増)と前年度を大幅に上回った一方、その他の鶏肉は8778トン(同7.7%減)と減少した。正肉の輸出は、日本産ブランドへの信頼を背景に増加しているとみられる。なお、その他の鶏肉のうち主要な品目は手羽・鶏足(もみじ)となっている。

 
 2年度(4〜8月)の輸出量は前年同期比18.7%増の4442トン、輸出金額は同18.5%増の9億円と、ともに前年同期を大幅に上回った。これは、主要な輸出先である香港においてデモやCOVID‐19の影響で内食化が進んだことなどによるものとみられる。輸出量の内訳を見ると、冷凍の正肉(もも肉およびむね肉)は242トン(前年同期比79.2%増)、その他の鶏肉は4200トン(同16.4%増)といずれも大幅に増加した。鶏肉輸出量全体に占める数量は少ないものの、特に正肉の増加率が大きくなっている。月ごとの輸出量および輸出金額を見ると、2年6月を除き、いずれの月も前年同月を上回って推移している(図26、27)。
 

 
 輸出先はアジア諸国となっており、香港、カンボジアおよびベトナム向けで輸出のほぼ全量を占めている(図28)。日本からの鶏肉の輸出が可能な国・地域は限られており、アジアの五つの国・地域およびEUとなっている。なお、現在は、中国などと輸出解禁のための協議が行われている。
 

 鶏肉の輸出先を見ると、元年度の最大の輸出先は香港で5277トン(シェア58%)、次いでカンボジアが2718トン(同30%)となった(表3)。また、2年度(4〜8月)も同様の傾向で、香港が2642トン(同59%)、次いでカンボジアが1281トン(同29%)となっている。
 なお、鶏肉のうち冷凍の正肉(もも肉およびむね肉)の輸出先については、元年度および2年度(4〜8月)とも同様の傾向で、最大の輸出先は香港であり、元年度は正肉輸出量のうち83%が、2年度(4〜8月)は91%が香港向けに輸出されている。

 
 
(畜産振興部 前田 絵梨)