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国内の需給動向【鶏卵】 畜産の情報 2021年2月号

鶏卵相場は上昇も、12月は年内最高値とはならず

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 令和2年12月の鶏卵卸売価格(東京、M玉)は、1キログラム当たり178円(前年同月比49円安)と前年同月を下回った(図25)。
 
 
 同年について年間を通した推移を見ると、同価格は年明けに下落した後は上伸し、4月上〜中旬には同210円となったが、その後は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による業務・加工用需要が減少したため、例年より低い水準で推移した。そして例年の動向と同様、夏場に低下し、7月下旬〜9月上旬には同145円と底を打った後、気温の低下とともに最需要期の12月に向け上昇した。しかしながら、年内最高値となることの多い12月だが、年末近くに同185円まで上昇したものの、最高値とはならなかった。
 供給面は、11月以降、高病原性鳥インフルエンザの発生が複数県で確認されているものの、全般的に産卵に適した時期を迎え、卵重や産卵量が増加するなど生産は順調とみられる。
 需要面は、COVID-19の影響により、最需要期である12月の需要は例年ほど伸びず、業務・加工用需要の荷動きは低調と言われている。今後については、COVID-19拡大による緊急事態宣言の再発令により外食用需要の回復は低調となると見込まれるものの、おでんや恵方巻きなどの季節需要の高まりが期待される。

令和2年度第2回成鶏更新・空舎延長事業が発動
 令和3年1月5日の鶏卵の標準取引価格(日ごと)(注1)が1キログラム当たり121円となり、安定基準価格(同161円)を下回ったことから、一般社団法人日本養鶏協会は、鶏卵生産者経営安定対策事業の一つである成鶏更新・空舎延長事業を発動すると発表した。なお、令和2年度の本事業の発動は2回目となる。
 同事業は、鶏卵の標準取引価格(日ごと)が安定基準価格を下回った日の30日前から標準取引価格(日ごと)が安定基準価格を上回る日の前日(注2)までに、更新のために成鶏を出荷し、その後60日以上の空舎期間を設けた生産者に対して奨励金を交付するものである。なお、今回の奨励金交付対象となる成鶏の出荷期間は、令和2年12月6日からとなっている。
 また、同協会が公表した、令和2年度第1回(令和2年5月18日〜9月23日)に発動した同事業の実施状況によると、令和2年12月31日時点の交付件数は561件、成鶏の出荷羽数は1016万4324羽、処理羽数は1007万2863羽となっている。(表7)
 
(注1) JA全農たまご株式会社の東日本営業本部および西日本営業本部において販売された規格卵(鶏卵規格取引要綱(昭和46年6月1日付け46畜A第2947号農林事務次官依命通知)別紙の箱詰鶏卵規格およびパック詰鶏卵規格に定める全種類の鶏卵)の1キログラム当たりの加重平均価格(円未満切捨て)として日ごとに算定し、一般社団法人日本養鶏協会が毎日公表しているもの。ただし、加重平均に当たっては前年度の規格別販売数量割合が用いられている。
(注2) 安定基準価格を上回った日の前日までに、成鶏の処理を食鳥処理場に申し込んでいる場合は、安定基準価格を上回った日から起算して30日後。

 

 
令和3年度の補塡基準価格および安定基準価格が決定
 農林水産省は令和2年12月10日、「令和3年度鶏卵生産者経営安定対策事業」のうち、「鶏卵価格差補塡事業」に係る補塡基準価格および「成鶏更新・空舎延長事業」の発動基準となる安定基準価格を決定した。補塡基準価格は鶏卵1キログラム当たり181円、安定基準価格は同159円と、いずれも2年度の価格から2円の引き下げとなった(表8)。
 

 
 
(畜産振興部 前田 絵梨)