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海外の需給動向【牛乳・乳製品/米国】 畜産の情報  2021年3月号

乾燥ホエイの輸出量、豚の飼料用として中国向けが好調

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 米国農務省(USDA)によると、2020年12月の生乳生産量は、前年同月比3.1%増の859万1000トンとなり、7カ月連続で前年を上回った(図16)。

 
 米国の生乳生産量は、乳価が比較的堅調に推移する中、搾乳牛(乳用経産牛)頭数および1頭当たりの乳量の増加を背景に、2019年後半から増加傾向となっており、2020年は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大による流通面での混乱などの影響を受けた5月を除き、前年同月を上回って推移した。
 乳製品の卸売価格は4、5月に大きく下落した一方、政府によるコロナウイルス食料支援プログラム(CFAP)の食品買い上げ配給プログラムなどにより、チーズの需要減退が一定程度に抑えられたことなどから、主要な乳製品の中でもチーズの卸売価格は6月以降、変動を繰り返しながらも高水準で推移している。その結果、総合乳価は、4、5月に大きく落ち込んだものの、6月以降はチーズの卸売価格に下支えされ、おおむね前年に近い水準で推移している(図17)。

 
1〜11月の乳製品輸出量は好調に推移
 USDAによると、2020年1〜11月の乳製品の輸出量は、チーズが前年同期並みとなったものの、その他の主要乳製品は前年同期を上回った(表10)。 
 品目別に見ると、脱脂粉乳(NFDM(注1)を含む)の輸出量は、メキシコ向けは同国内の景気低迷による需要減などを背景に減少傾向となっているが、東南アジア向けが好調なことや、同年3月以降の中国による追加関税の免除(注2)などから、1〜11月の合計は前年同期比19.3%増となった。
 チーズの輸出量は、輸出先の好調な需要を背景に増加傾向で推移していたものの、米国内の卸売価格の高騰や、主要輸出先の一つであるメキシコ向けの減少などにより、同年後半は伸びが鈍化し、11月は前年同月比15.8%減となった。その結果、1〜11月の合計は前年同期並みとなった。
 乾燥ホエイの輸出量は、飼料用需要が好調で追加関税が免除された中国向けが、前年同期を上回っている。中国は、アフリカ豚熱で急減した豚飼養頭数の回復に伴い、豚の飼料用として大量に買い付けをしている。この結果、1〜11月の合計は前年同期比39.8%増となった。
 タンパク質濃縮ホエイ(WPC)の輸出量は、中国などの主要輸出先での健康志向の高まりなどを背景に、好調に推移しており、1〜11月の合計は同15.7%増となった。

(注1) NFDMとは、たんぱく質含量が必ずしも脱脂粉乳の国際規格を満たしていない脱脂粉乳のことをいう。

(注2) 海外情報「多品目の米国産農産品の追加関税の免除を公表(中国)」 https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002635.html)を参照されたい。


(調査情報部 河村 侑紀)