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調査・報告 畜産の情報 2021年5月号

はっ酵乳・乳飲料などの生産実態調査の結果

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酪農乳業部 乳製品課

【要約】

 当機構では、乳製品の生産動向を的確に把握するため、毎年度、乳業メーカーなどを対象に「はっ酵乳・乳飲料などの生産実態調査」を実施している。
 令和2年度に実施した調査結果によると、元年度の生産量は、はっ酵乳が前年度よりも減少、乳飲料と加工乳が増加した。
 はっ酵乳については、価格改定などの影響を受けて生産量は減少傾向が続いていたが、同年度において2〜3月はコロナ禍に見舞われたことから、巣ごもり需要などで生産量が増加した。ただし、それまでの減少分を取り戻すまでには至らなかった。
 乳飲料も価格改定の影響から苦戦していたが、健康意識の高まりでタンパク質を強化した乳飲料が好調となるなどにより、最終的には昨年度より生産量が増加した。
 加工乳も、製品ラインナップの変更などにより、生産量が増加した。

1 調査概要

(1)調査対象および回収率

 本調査は、「はっ酵乳(注1)」「乳飲料(注2)」「加工乳(注3)」の三つの品目ごとに、令和元年度の生産量、成分、乳原材料使用割合などを調査したものである。
 元年度における調査対象は対象品目を生産している全国145社(乳業者と非乳業者を対象)とし、有効回答は123社(注4)、有効回答率は84.8%(123/145)であった(表1)。


 本調査結果記載のデータは、いずれも各年度の回答をとりまとめたものであり、全国の統計を表すものではない。また、本調査結果のデータは、各年度の回収率や、規模の大きな企業の回答の有無に影響されることに留意が必要である。

(注1)生乳および乳製品を原料として、これを乳酸菌または酵母ではっ酵させ、のり状または液状にしたもの。

(注2)生乳、牛乳、特別牛乳およびこれらを原料として製造した乳製品を主要原料とした飲料で、乳および乳製品以外のもの(ビタミン、カルシウム、果汁、コーヒーなど)を加えたもの。
(1)色物乳飲料:「乳飲料」のうち、乳成分に果汁、コーヒーなどを加えたもの
(2)白物乳飲料:「乳飲料」のうち、乳成分にカルシウムやビタミン、レシチンなどを加えたものなお、本調査では、風味にかかわらず、色のついているものを「色物乳飲料」、白いものを「白物乳飲料」に分類した。

(注3)生乳、牛乳もしくは特別牛乳、またはこれらを原料として製造した食品を加工したもの(成分調整牛乳、低脂肪牛乳、はっ酵乳および乳酸菌飲料を除く)。

(注4)前回調査の調査対象企業数は160社、有効回答数は124社であった。

 

(2)全国生産量のカバー率

 全国生産量に対する本調査のカバー率は、はっ酵乳が73.4%、乳飲料が71.8%、加工乳が68.6%となった(表2)。

2 令和元年度調査結果の特徴

(1)はっ酵乳は、成長が鈍化し減少傾向

 令和元年度のはっ酵乳の全国生産量は、126万4000キロリットルと前年度より2.7%減少した。本調査で回答のあった企業のはっ酵乳の生産量も、前年度よりも7.5%減少した。減少要因として、価格改定による影響、需要の減少、他社との競争激化、学校給食用の取り扱いの減少、宅配向け商品の出荷減、自然災害による工場の操業停止などの回答があった。
 

(2)色物乳飲料、白物乳飲料ともに増加

 回答のあった企業の乳飲料のうち、元年度の色物乳飲料の生産量は前年度から増加している。増加の要因として、たんぱく質を強化したプロテイン飲料の伸長、OEM商品の生産、ミルクティー系やミルクラテ系の乳飲料の販売伸張などの回答があった。同様に白物乳飲料も前年度からやや増加しており、増加要因として、生乳不足を背景とした牛乳の代替需要の高まりなどによる白物乳飲料の積極的な販売などの回答があった。
 

(3)加工乳は大幅に増加

 元年度の加工乳の生産量は、前年度から大幅に増加した。増加要因としては、需要の増加、新商品の発売などの回答があった。

3 生産動向

(1)はっ酵乳

 令和元年度のはっ酵乳の全国生産量は、前年度より2.7%減少し126万4391キロリットルとなった(図1)。
 本調査で回答のあった企業のはっ酵乳の生産量は、前年度よりも7.5%減少し、92万8344キロリットル(カバー率:73.4%)となった。
 はっ酵乳の生産割合を商品タイプ別(注5)で見ると、「プレーン」は28.9%(前年度比1.8ポイント増)となった一方で、「ハード」は18.5%(同2.4ポイント減)となった。「ソフト」と「ドリンク」は、前年度とほぼ同じ割合となった(図2)。
 生産割合を乳業区分別に見ると、構成比は乳業系が87.8%、非乳業系が12.2%となっており、前年度より乳業系がわずかに増加した(図3)。

(注5)はっ酵乳の商品タイプを次の通り分類した。
  (1)プレーン:糖類や果実などの乳成分以外のものを一切含まないもの
  (2)ハード:糖類やペクチンなどの安定剤を添加したもの
  (3)ソフト:果肉や果物を含むもの
  (4)ドリンク:液状で飲料タイプのもの
  (5)フローズンなど:冷凍されたもの、その他のもの





(2)乳飲料

 元年度の乳飲料の全国生産量は前年度より1.7%増加し、113万9653キロリットルとなった(図4)。
 本調査で回答のあった企業の乳飲料の生産量は、前年度よりも3.9%増加し、81万8190キロリットル(カバー率:71.8%)となった。

ア 色物乳飲料
 回答のあった企業の元年度の色物乳飲料生産割合を商品タイプ別に見ると、「コーヒー」は82.7%(前年度比2.6ポイント減)、「フルーツ」は6.2%(同0.3ポイント増)、「その他」は11.0%(同2.2ポイント増)となった(図5)。
 生産割合を乳業類型別に見ると、大手3社が59.6%(前年度比5.1ポイント減)、農協プラント系が15.0%(同0.4ポイント増)、中小系が25.4%(同4.7ポイント増)となった(図6)。

イ 白物乳飲料
 回答のあった企業の元年度の白物乳飲料生産割合を乳業類型別に見ると、構成比は大手3社が47.7%(前年度比7.3ポイント減)、農協プラント系が15.9%(同2.3ポイント増)、中小系が36.4%(同5.0ポイント増)となった(図7)。
 







 

(3)加工乳

 元年度の加工乳の全国生産量は、12万5949キロリットルと26.0%の増加となった(図8)。
 本調査で回答のあった企業の加工乳の生産量は、カバー率が高まったこともあり、前年度より59.4%増加し、8万6407キロリットル(カバー率:68.4%)となった。
 加工乳の生産割合を商品タイプ(注6)別に見ると、「低脂肪」が30.6%(前年度比19.8ポイント減)、「普通脂肪」が50.0%(同28.2ポイント増)、「濃厚」が19.4%(同8.4ポイント減)となった(図9)。
 生産割合を乳業類型別に見ると、地域展開が中心となる中小系が68.3%と前年度から大幅に増加する一方で、農協プラント系は17.0%と大幅に減少した(図10)。

(注6)加工乳の商品タイプを乳脂肪率により次の通り分類した。
 (1)低脂肪:1.5%以下
 (2)普通脂肪:1.5%~3.8%未満
 (3)濃厚:3.8%以上





 
 

4 乳原材料使用割合の動向

 各品目の乳原材料使用割合を調査した。ここでの使用割合とは、以下の算定式により求められたものであって、乳製品由来以外の水分やフルーツなどを含め、原材料ベースの総重量で単純に算出したものである。

乳原材料使用割合(%)
=乳原材料使用量(トン)÷原材料総重量(トン)
×100
 

(1)はっ酵乳

 はっ酵乳の乳原材料使用割合を見ると、乳原材料自体が総じて横ばいないし減少し、生乳(注7)は18.2%、脱脂濃縮乳は12.1%、脱脂粉乳は2.8%となった(図11)。
 乳業類型別に見ると、いずれも生乳を使用する割合が高いが、特に大手3社は脱脂濃縮乳(16.8%)の使用割合が最も高い(表3)。

(注7)「殺菌乳」「部分脱脂乳」などを含む現物ベース。




 

(2)乳飲料

ア 色物乳飲料
 色物乳飲料の乳原材料使用割合を見ると、生乳は13.3%と前年度よりも3.4ポイント増加している。また、脱脂濃縮乳、脱脂粉乳、バター、ホエイ類の割合は、前年度と比較して大きな変化はない(図12)。
 乳業類型別に見ると、大手3社は脱脂濃縮乳(6.6%)の使用割合が高く、農協プラント系と中小系は生乳(43.7%、24.0%)を使用する割合が高い(表4)。


 
イ 白物乳飲料
 白物乳飲料の乳原材料使用割合を見ると、生乳が15.3%と前年度よりも1.1ポイント増加している。また、脱脂濃縮乳は7.1%と前年度より0.7ポイント減少、脱脂粉乳は2.5%と前年度よりも0.4ポイント増加した(図13)。
 乳業類型別に見ると、いずれも生乳を使用する割合が高いが、特に大手3社は脱脂濃縮乳(12.1%)の使用割合が最も高い(表5)。




 

(3)加工乳

 加工乳の乳原材料使用割合を見ると、生乳が24.9%と前年度よりも10.2ポイントとかなりの程度増加した。一方、脱脂濃縮乳の割合は20.2%、脱脂粉乳は1.0%、クリームは4.7%といずれも前年度より減少し、バターはほぼ横ばいであった。(図14)。
 乳業類型別に見ると大手3社と中小系はいずれも生乳と脱脂濃縮乳の使用割合が高く、特に生乳の割合が前年度に比べ大きく増加した(40.6%、24.9%)。また、農協プラント系は生乳とクリーム(11.5%、14.9%)を使用する割合が高い(表6)。





 

5 過去10年間の生産動向

(1)生産量

 はっ酵乳の生産量は、消費者の健康志向の高まりなどを背景に増産傾向で推移してきたが、平成29年度から減少に転じ、令和元年度は126万4000キロリットルと前年度よりも2.7%減少した(図15)。
 乳飲料は、原料価格の高騰、コンビニエンスストアのカウンターコーヒーやPETボトルコーヒーの伸張、牛乳への需要回帰などを背景に、平成26年度以降は減少傾向で推移していたが、令和元年度は114万キロリットルと前年度よりわずかながら生産量は増加した。
 加工乳は平成23年度以降、減少傾向で推移していたが、30年度より増加に転じ、令和元年度は12万6000キロリットルとなった。
 

 

(2)乳原材料の使用割合の変化

 平成24〜27年度のはっ酵乳、乳飲料、加工乳の原材料の使用割合を見ると、国内の脱脂粉乳価格の上昇や無脂乳固形分需要が脱脂粉乳から脱脂濃縮乳へシフトしたことなどから、脱脂濃縮乳が増加傾向で推移してきた(表7)。また、27年4月からの機能性表示食品制度の導入により、機能性ヨーグルトが注目され始めた時期でもあり、これも脱脂濃縮乳の増加に影響を与えたとみられる。
 直近3年間(平成29年度〜令和元年度)の原材料の使用割合を見ると、はっ酵乳については大きな変動は見られないが、乳飲料(特に色物)および加工乳では「生乳」が増加し、総じて「脱脂濃縮乳」「脱脂粉乳」が横ばいないし減少する傾向が見て取れる。

6 はっ酵乳および乳飲料の生産動向と見通し

 乳業大手3社に、令和元年度の生産動向および市場動向、2年度の見通しについてのヒアリングを行った。
 

(1)令和元年度の生産動向および市場動向

 はっ酵乳は、平成27年4月から導入された機能性表示食品制度をきっかけに機能性ヨーグルトが注目され、新しい需要層を獲得していき、市場拡大につながったという経緯がある。
 しかし、令和元年度のはっ酵乳の生産量は、「成長の踊り場」と言われた前年度を下回るという結果となった。はっ酵乳が低迷した要因として、前述の通り小売価格の改定やメディア露出の減少などが挙げられるが、特に価格改定の影響は強く、「元年度上期は、価格改定のダメージが大きかった」とする意見が聞かれた。
 元年度下期は、2年2〜3月以降の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に伴い、いわゆる「巣ごもり需要」により、スーパー・マーケットなどでプレーンの大容量タイプの販売が伸びるとともに、免疫力向上への期待から機能性ヨーグルトを購入する消費者が急増するなどの消費行動の変化により、はっ酵乳の需要を押し上げた。ある乳業メーカーでは、「2〜3月は工場がフル稼働だった」とのことである。ただし、元年度を通して見ると、数字上では前半の不調を挽回するには至らなかった。
 乳飲料の元年度の生産量は、前年度から微増で推移する結果となった。はっ酵乳と同様に価格改定の影響もあり上期は苦戦したが、下期はコロナ禍の影響から健康意識の高まりを受けて、低脂肪タイプが注目されたり、タンパク質を強化した乳飲料の販売が好調に推移したりするなど、需要を上向かせる動向が見られた。
 一方、色物乳飲料としては、新商品が数多く投入されたミルク・ラテが好調とされた中で、コーヒー系乳飲料はコンビニエンスストアのカウンターコーヒーなどの競合品に苦戦するなど、活路を見いだせない状況が続いた。
 

(2)令和2年度の見通し

 乳業メーカー各社の見解などによると、令和2年度のはっ酵乳市場は前年度を上回るとみられる。要因としては、コロナ禍により消費者の健康意識の高まったこと、また、巣ごもり需要による大容量タイプの販売増、さらに、免疫力向上をうたう食品としてはっ酵乳がメディアで取り上げられたことなどが挙げられる。これにより、インフルエンザや花粉対策など機能性を追求した製品のみならず、従来のプレーンタイプやハードタイプにまでその波及効果があったことが大きいとみられる。
 乳飲料は、プロテイン製品や低脂肪タイプといった一部の製品が引き続き好調である一方、牛乳の代替品としての動きが顕著には見られなかったことに加えて、コーヒー系乳飲料の不調などの状況から、2年度は前年度より減少するものとみられている。
 



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