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海外の需給動向【豚肉/カナダ】  畜産の情報 2021年6月号

豚肉輸出量、フィリピン向けが大幅増加

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豚総飼養頭数、3年ぶりに増加
 カナダ統計局(Statistics Canada)によると、2021年1月1日現在の豚総飼養頭数は1402万5000頭(前年比0.4%増)と3年ぶりに前年をわずかに上回った(表7)。内訳を見ると、繁殖豚は同1.0%増の125万6900頭と前年をわずかに上回り、肥育豚は前年並みの1276万8100頭となった。重量別では、81キログラム以上の区分が同4.3%増となった。
 また、子豚生産は増加傾向で推移しており、2020年下半期(7〜12月)の分娩母豚頭数は前年同期比2.8%増の126万1300頭、産子数は同2.7%増の1693万9100頭といずれも前年同期を上回った(カナダ統計局)。


米国向け生体豚輸出頭数、前年比3.8%増
 カナダ統計局によると、2020年の米国向け生体豚輸出頭数(繁殖豚を除く。以下同じ)は528万7200頭(前年比3.8%増)となり、5年ぶりに前年を上回った(図9)。内訳を見ると、生体重量が50キログラム未満の豚(肥育用豚)は同2.8%増の443万900頭、50キログラム以上の豚(と場直行豚など)は同9.6%増の85万6300頭となった。カナダでは輸出される生体豚のほぼ全量が米国向けとなっており、米国内の豚飼養頭数減少を受けて前年から増加した。USDAは、肥育用豚輸出の増加要因として、米国内での豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)の発生なども一因とみている。


1〜2月の豚肉輸出量、前年同期比2.7%増
 カナダ統計局によると、2021年1〜2月の輸出量は19万4000トン(前年同期比2.7%増)とわずかに増加した(表8)。輸出先別に見ると、最大の輸出先である中国向けは、現地での豚肉生産が回復傾向となっていることなどから、5万8800トン(同23.0%減)となった。次いで多い米国、日本向けは近年拮抗して推移しており(図10)、それぞれ3万6600トン(同2.2%増)、3万3300トン(同9.5%減)となった。フィリピン向けは前年同期比約6.7倍の2万1400トンと急増し、4番手の輸出先に躍り出た。報道によると、同国では、アフリカ豚熱の流行による豚肉生産量の減少を受けて供給不足が続いており、豚肉価格が高騰している。こうした状況から、フィリピン政府は4月に輸入豚肉の関税率の引き下げなどを実施している。




(調査情報部 河村 侑紀)